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□White presents
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夜もすっかり更け、辺りがしんと静まり返った頃。

「……はぁぁ、疲れたぁ……」

イタリアのどこかにある、巨大な屋敷で。

周りを深い森に囲まれているため、月の光だけに照らされたその建物の、最上階の通路をふらふらと歩きながら……一人の青年が大きくため息を吐いた。
柔らかい薄茶色の髪に同じ色の大きな瞳。高級そうなスーツに身を包んでおり、だが童顔で小柄な体付きは成人しているようには全く見えない。

だが、このいかにも人の良さそうな容姿の青年は……実はイタリアの巨大マフィア、ボンゴレファミリーの十代目ボス……沢田綱吉なのだ。

ここはボンゴレのアジト、裏社会に生きる人間達の領域なのである。

「お疲れ様です、十代目」
「ホント、もうヘトヘトだよー……」

すぐ斜め後ろを歩いていた青年……右腕である獄寺隼人に労われて、ツナはとてもマフィアのボスには見えない様子でふにゃりと頬を緩めた。


ただの一般人だったツナが、それはもういろいろなことを経てボンゴレ十代目を継いで早数年。
日々膨大な仕事に追われ、また命の危険にさらされることも少なくない。それでも、獄寺を始め癖の強い……だが頼もしい仲間に助けられ、支えられながら毎日を過ごしていた。

ただ、

「明日は一日お休みですから、今日はゆっくり休んで下さいね!」
「う、うん……?」

日付もとっくに変わり、ようやく仕事終えたツナを寝室まで送る獄寺の様子に、だが彼は不思議そうな顔をした。

「……獄寺君、すごく嬉しそうだね?何かあった?」
「えっ?いえ、そんなことは……普通ですよ!」
「……ふーん?」

一瞬焦ったような様子が見られたような気がしたが、同時にツナの部屋の前へと到着してしまう。獄寺は、そそくさと扉を開けた。

「では、お休みなさい十代目!良い夢を!」
「……うん、お休み」

(……怪しい)

深く頭を下げ逃げるように部屋を後にした右腕を見送って、だがツナは眉間に皺を寄せたのだった。

(獄寺君、絶対に何か隠してる……)

ツナが疑うのも無理はない。獄寺を始め守護者と呼ばれるツナの仲間達は、いろいろぶっ飛んではいるが大切で信頼できる仲間なのだが……

だがここ最近、彼らはツナには全く理解できない、そして実に許しがたい行動を取るのだ。それはもう、とんでもないことを。

というのも……

「……ふぁ……」

だが考えようとして部屋に入った瞬間、とてつもない眠気に襲われた。
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