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□Cute plaything
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とにかく、今日もいつものように呼び付けられたためこうして素直にやってきたというのに、何故かその命令した本人がいないのだ。自分勝手な行動に、ツナが悶々とするのも無理はなかった。
だが、
(……いや、待てよ……)
怒って勝手に帰ってしまおうと踵を返しかけて、そこでふと思い立つ。
(これって……骸の弱味を握るチャンス!?)
いつも彼に不当な扱いを受けているツナ。たまには仕返しをしたい、骸よりも優位に立ちたいと思うのは自然なことだろう。
いつもその気持ちはあるのだが口では勝てないし、何か仕掛けようものなら何倍にも返されそうだからできなかったのだ。
だがその彼の秘密というか、人には見せたくない部分を知ることができればどうだろうか。
(よ、よーし……!)
ごくりと唾を飲み込むと、ツナは主人のいない部屋の、さらに中へと踏み込んだのだった。
部屋は中央に古びたソファーがあり、壁際にはボロボロになった棚がいくつか置かれている。そこに少しだが何かの本や雑誌、小物などが並んでいた。
(ソファーの下とか、棚の奥とかに何かないかな…え、え、エッチな本とか……!)
自分で自分の言葉に赤面しながら、ツナはソファーの下に潜り込んだり本棚を漁ったりする。だが、そこに骸の弱味になりそうな物はない。
次いで、隅の方に置かれていた小さな冷蔵庫を開けてみた。
中には、
「……う、ううーん……」
そこには、びっしり…そう、びっしりと……チョコレート菓子が入っていた。サイドには、しっかりアイスココアの紙パックまである。
下の冷凍庫は……見なくても分かるだろう。きっと、チョコレート系のアイスが大量に入っているに違いない。
(う、うん……)
いや、予想はしていた。骸は大のチョコレート好きなのだから。
冷蔵庫が破裂しそうなほど詰め込まれたチョコレート製品には一瞬ゾッとしたものが走ったが、これは弱味にはならないだろう。
(くっそぅ…何かないのかなぁ……)
良く考えれば、骸は性格はあれでも美形だし(髪型はともかく)、頭も良く物腰も柔らかで確実にもてるだろう。性格はあれでも。
だから、私生活にも全く隙がなさそうで……同じ男としてツナは悔しくなった。何とかして、あの余裕ぶった笑みを崩してやりたいのに。
その時、
「ん……?」
再び部屋の中をキョロキョロと見渡したツナは、とある場所に目が留まった。