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□Changeless
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ツナの正式な十代目継承。それが近付くにつれて、言い様のない何かが胸をよぎるというか……ざわざわと、落ち着かないのだ。

ただの緊張ではない。焦りや不安……そんな簡単に言い表わせるものではなくて。

ツナがボンゴレのボスになることが、何よりの望みだった。ボスに就任したツナの守護者として、その右腕として一生仕えることを、何よりも望んでいたはずだ。

それなのに、ツナがイタリアへ行くと決めた時から……この訳の分からない感情が、胸の中に渦を巻き始めて。

いや、その時からではない。恐らくもっと、ずっと前から……

「……寺君?……獄寺君っ」
「っ、は……」

すると、ネクタイを解いたままボーッとしてしまっていたのか、ツナが不思議そうに見上げてきて。その、かなり近い距離に獄寺はどきりと心臓を跳ねさせた。

「す、すみません…!」
「どうしたの?ボーッとしちゃって……やっぱり、獄寺君も緊張してる?」
「え…は、はい……」

そう言ってふわりと笑うツナは、獄寺よりも落ち着いていて、あまり緊張しているようには見えない。出会った当初は、困ったことがあればすぐに自分や山本に助けを求めていたというのに……今もそれは変わらないが、あの頃からツナは随分成長して……やはり、変わったと思う。

そんな主人を見て、自分は……

「獄寺君?」
「………」

自分は今、どんな顔をしているのだろうか。

何も答えない獄寺を心配したのか、ツナが気遣わしげにさらに顔を近付けてくる。

「本当に大丈夫?もしかして、具合が悪いんじゃ…」
「っ……」

だが、その細い指が頬に触れようとした直前、

「っ……!」
「わっ…!」

獄寺は、咄嗟にその手をつかんでいた。そして驚いたように目を見開くツナに、すぐにはっとすると、

「も、申し訳ありません…!」

慌てて細い手首を放して、気まずそうに目をそらしてしまった。

ツナは、やはり不思議そうに獄寺を見上げている。その曇りのない、澄み切った視線を感じるのだ。

「っ、本当にすみません…明日は大事な日なので、もう休んで下さい……失礼します」
「ぇっ…ぁ……!」

それに耐えきれなくなって、獄寺は急いで踵を返すと重厚なドアへと向かった。ツナの視線から逃れるように。

だが、

「っ……待って!」
「っ……!」

ドアノブに手を伸ばそうとした時、静かな部屋にそんな声が響いて……腕を、強い力でつかまれていた。誰に、なんて考える必要もない。

たった一人の、己の主人に。

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