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□Changeless
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「……はぁぁ、疲れたぁー」

日もとうに落ちて、外が完全な暗くなる時刻。その青年は、自分に与えられた部屋に入ると肺が空になるほどの大きなため息を吐いた。
柔らかいハニーブラウンの髪に大きめの瞳。柔和な顔立ちと、成人にしては小柄な身体は、漆黒のスーツに身を包んでいるにも関わらず未成年に見えてしまう。

「お疲れ様です、十代目」
「ありがとう、獄寺君」

そんな穏やかで優しげな青年に近付くのは、同じく黒のスーツ姿の、だがこちらはかなり大人びて見える青年だった。同い年くらいだろうが、すらりとした長身にしなやかな体付き、整った顔立ちは年上のようにも感じる。

青年……獄寺隼人は、自分の主人……沢田綱吉に静かに歩み寄った。そして胸元に手を伸ばして、丁寧にネクタイを解きながら、

「……いよいよ明日、ですね」
「……そうだね」

囁くようにそう言えば、意外にも落ち着いた声が返ってきたのだった。

彼らがいるのは、故郷である日本ではない。遠く離れたイタリア……イタリアの巨大マフィア、ボンゴレファミリーのアジトだ。

そして明日は、沢田綱吉……ツナが、ボンゴレの十代目に正式に就任する日なのだ。


九代目の命を受けてやってきた、最強のヒットマンである男に家庭教師をされて約十年。高校を卒業して、この春に大学をも卒業したツナは、すぐにイタリアへと飛んだ。

ボンゴレファミリーのボスを継ぐために。

中学の頃からマフィアになることを拒み続けて、それはずっと変わらなかったはずなのだが……驚くべきことに、ツナは大学を卒業するとあっさりとイタリアへ行く決意をした。

守護者達やボンゴレの誰もが驚いたが、同時に安心しただろう。十代目を継ぐべき直系は、ツナしかいないから。
それに……ツナ以外にボスに相応しい人間などいないと、誰もが思っていたのだから。

もちろん、それは獄寺も同じだった。彼はツナに出会った時から主人として慕い、誰よりもボスになることを望んでいたのだから。

だが、

「あぁ〜緊張するなぁ……今日の打ち合わせだけでもすごくドキドキしたんだから、明日はどうなっちゃうんだろう」
「そ……いえ、右腕である俺が付いていますから、安心して下さい!」
「あはは、ありがとう」

ふにゃりと笑うツナに、獄寺も安心させるように笑って……だが、その笑みには少し陰りが見えた。

(どうしちまったんだ、俺は……)

獄寺は……最近、心に妙な引っ掛かりを感じていた。

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