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□鎖縁
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だが、もしそれが本当ならば……組長の死は、この裏社会にとてつもない衝撃を与えることになる。

何せこの世界のトップであり、その均衡を保たせていたと言っても良い存在だ。それがなくなるとなれば……今まで押さえ付けられていた多くの組織が、これを機会に勢力を拡大しようとするだろう。
実際、すでに裏では密かに動きを見せている組も存在するという。

というのも、ボンゴレには跡取りとなる人間がいないと言われていたからだ。そのため噂が本当ならば、確実に組織の消滅を意味していて……他の組織が勢いづくのも無理はない。

だが……ボンゴレには世間には知られていない、ほんの一部の人間しか知らない確かな事実があった。

それは……


「どうぞこちらへ」
「………」

マンションから黒塗りの車に乗せられて、どのくらい走っただろうか。やがてそれが止まり、恭しくドアを開けられ下ろされると……そこは、ツナの良く知る住宅街ではなかった。

代わりに目の前にそびえ立つのは……昔ながらの古い屋敷。それもかなり大きく、正面玄関から左右に伸びる塀はどこまで続いているのか分からないほどで。

そして、正面の門に掲げられた大きな表札には……日本でも有名な、巨大な暴力団の家名が書かれていた。

(また…ここへ来たんだ……)

ただ、ツナは……ここへ来るのは実は初めてではなかった。

むしろ……

「お帰りなさいませ」

先導する男に仕方なく着いていけば、立派な門を抜けた所でずらりと並んだ黒スーツの男達に頭を下げられる。そしてその威圧感のある花道を抜け屋敷に上がると、無言のまま屋敷の奥まで案内された。

しばらく歩くと現れた渡り廊下を通って、さらには離れにまで足を踏み入れる。やがて一番奥の突き当たりの部屋まで来ると、ツナを迎えにきた男がその部屋の入り口の前で膝を着いた。

「……若。ツナさんをお連れしました」
「―――入れ」
「っ……!」

中から聞こえた低く、鋭い声にどきりと胸が跳ね上がる。

この声を聞くのは数ヶ月ぶりだ。そして、ツナはもう聞くことはないと思っていた声で。

だが、思わず逃げようと動く前に……男は障子を素早く開けてしまった。

そこには、

「―――ツナ」
「………!」

数ヶ月ぶりの、だが決して会いたくなかった人物がいた。
ツナよりも少し年上で、やはりどこかの高校の制服を着た男。すらりとした長身にしなやかな体付き、酷く整った顔立ちをしている。

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