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□Easy question
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半ば強引に自分の家まで引っ張られて、二階にある自室へ入れば早速寛ぎ始める白蘭。何の悪気もないので、こちらも気が抜けて簡単に許してしまう。

それに、言われた通り大人しくしているし……だがツナは、そわそわして仕方がなかった。

それはそうだろう。本来もう会うこともないと思っていた人物が、自分の家でのんびりと寛いでいるのだから。

だが、そうなのだ。あの大きな戦い以来、白蘭は良くツナの元を訪れるようになった。
何の用かと思えば何てことはない。お喋りをしたり、ゲームをしたり出かけたり……つまり、普通の友達のように接したり遊んだりするだけなのだ。

聞けば白蘭は、ボンゴレの中でも重要で極秘の機関に監視されているのだが……その割に自由に出歩いて良い時間があるのか、そんな時は良くツナの所へやってくる。

そう、今日のように。

「………」

何とか宿題を終わらせようとしても、ベッドに寝そべって漫画を読む白蘭が気になって全く集中できない。ちらりと視線を向ければ、興味深そうに、楽しげに本のページをめくっている。

(どうすれば良いんだよ、この空気……)

居心地の悪さを感じているのはツナだけなのだが、やはり落ち着かない。

白蘭が怖いとか、警戒をしているとかいう訳ではないのだ。だって今の彼は、ちょっと変わってはいるがどこにでもいそうな人間だから。

そう、本当にどこにでもいる普通の……

だが、こんなにも落ち着かないのは、

「なになにー?宿題終わった?」
「ふわっ!」

すると、ちらちらと視線を向けていたのに気付いたのか、顔を戻した瞬間に後ろから抱き付かれて。その温もりに、ツナは驚いて飛び上がった。

「ちょっ、白蘭っ!」
「あれー?まだ全然できてないじゃん。やっぱり綱吉クンって勉強できないんだ?」
「う、ううううるさいっ」

ムッとして振り返れば、やはり人懐こく笑った、だが酷く整った顔が目の前にあって……ツナは、どきりと心臓を跳ねさせてしまう。

「しょうがないなぁ、僕も手伝ってあげるよ」
「ぇっ…お前、勉強できるの?」
「ははっ、綱吉クンも失礼だなぁ。大丈夫大丈夫、分からなかったら一緒に考えれば」
「っ、何だよそれ……」

ツナは、慌てて顔を机へと戻した。自分の表情を、白蘭に見られないように。

(な、何考えてるんだよ俺っ…!)

屈託のない笑顔。悪気もなく親しげな言葉の数々。

本当にどこにでもいる、友達同士という関係に戸惑うだけではない。

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