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□Tactics
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「調子に乗ると、後で後悔することになるぞ」
「煩いなぁ、今日はとことん飲みたい気分なの」
「くくっ、激甘のお子様みたいな酒しか飲めねぇくせに」
「っ……!」

ツナは昔からビールや焼酎など、苦くて辛いお酒が苦手だ。だから甘いカクテルや果実酒しか飲めない。

それを指摘されからかわれて、ツナはさらに怒りが募っていくのを感じた。苛々ではない。最早怒りなのだ。

(っ、元はと言えば…!)

思わず睨み付ければ、余裕の笑みでキツい度数のウイスキーを飲む男。その、誰もが見惚れるであろう美貌と大人のフェロモンを撒き散らす姿を見て、

「っ、マスター…!俺にも、この人と同じもの!ロックで!」


***


それから約一時間後。

「……ぅ…ぅぅぅ…ん……」

ツナは、見事にただの酔っぱらいになっていた。今にも目蓋が閉じられそうなのに据わり具合に鋭さが増した瞳、芯がなくふにゃふにゃとした細い身体。
リボーンが支えていなかったら、すぐにでも倒れて眠ってしまいそうなほど。

元々酒が弱いにも関わらず早いペースで飲み、さらに普段は口にしないようなアルコールのキツいものを飲んだのだから、そうなるのは当たり前かもしれないが。

「……だから言っただろう、ダメツナが」
「うにゃぁ……」

フラフラしながらも何とかバーを後にしたツナは、すぐにリボーンに横抱きにされ予約していた部屋へ運ばれた。ここは宿泊することもできて、ツナに付き合って飲むつもりだったリボーンは先に部屋を取っておいたのだ。

「チッ……いつまで経っても世話の焼ける奴だ」
「っ……」

適当にジャケットと靴を脱がされて、部屋にたった一つしかないキングサイズのベッドに放り投げられる。面倒臭そうに見下ろしてくるリボーンを、ツナはぼんやりと見上げた。

「ベッドは使わせてやる。ガキはさっさと寝ろ」
「ぁ……」

そう言って踵を返し、離れていきそうになる背中。

それを見てツナは、

「……待って。リボーン」

その腕を、寝たまま強くつかんでいた。

そして、

「……何だ」
「……今日、何で俺に着いてきたの?」
「あ?」

怪訝そうに振り返れば、ツナは思いの外しっかりとした意識があって、まっすぐに彼を見つめていて。腕をつかむ手の力も、弱々しそうに見えて簡単には離れそうにないほど強い。

そんなツナを、リボーンは静かに見下ろしながら、

「……だから言っただろ。仮にもマフィアのボスを一人でバーに…」
「違う。さっきのことじゃなくて、会談のこと」
「………」

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