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□Tactics
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そしてツナがボスに就任した今も、何だかんだ言って側にいて手助けをしてくれるのだが……

「そんなの…リボーンを連れていった意味ないじゃん。護衛のつもりだったのに……」
「それは、たまたま守護者どもが全員他の任務に就いていたからだろう。俺はお前のお守り役みたいなもんだ」
「っ、俺は子どもかよ!」

小さな子ども扱いをされて、ツナはさらに頬を膨らませる。そういう仕草が余計に幼く見せているのだが、彼は全く気付いていない。

そして、内心ぽつりと呟いたのだった。

(ホント…これじゃ、何のために……)

ツナが不機嫌なのは、他人にセクハラをされたことだけではない。リボーンがツナを助けなかったり、他にも……とにかく、彼が苛々の原因になっているのだ。

何故なら……

「……リボーン、車停めて」
「ん?」

不意に口籠もったツナが、次に発したのはそんな言葉だった。怪訝に思ったリボーンがちらりと視線を投げ掛けても、彼はそっぽを向いたまま顔を見せようとはしない。

「今日は、近くの店に寄ってから帰る。だからここで降ろして」
「おいダメツナ、俺は運転をしいてるから付き合えねーんだぞ」
「誰も付き合ってくれなんて言ってない。一人で飲んで一人で帰るから」
「………」

仮にもマフィアのドンが、護衛も付けずに一人でフラフラするなどあり得ないことだ。それは、ツナが良く分かっているはずだが……

素っ気ないツナの態度に、リボーンはしばらく黙った後、

「……ふん、しょうがねぇ奴だ。お前を無事に送り届けるまでがお使いだからな、特別に付き合ってやる」
「………」

何を思ったのかニヤリと笑って、緩やかに車の進路を変更したのだった。

(……リボーンの、バカ……)

ツナは、目的地に着くまでずっとリボーンを見ようとはしなかった。


***


向かったのは、プライベートでも良く行く落ち着いた雰囲気のバーだった。会員制の高級店で、限られた人間しか入ることができない。

今日はいつもより客の少ない店内の、カウンターの一角に二人並んで座っていた。

「……飲み過ぎだぞ、ツナ」
「………」

呆れたようにグラスを傾けるリボーンは、容姿と雰囲気でそれだけで絵になる。その隣で、ツナはいつもよりもかなり早いペースでカクテルを煽っていた。
元々アルコールに弱いというのに、獄寺辺りがいれば心配しそうな早さだ。

実際、ふっくらした頬はすでに赤く染まり、瞳はとろんとしているのにどこか据わっていて……完全に酔っているだろう。

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