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□An escape
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だが、少し名残惜しげに湯船から出ようとした時だった。

「………!」

がらりと音を立てて、大浴場のドアが開かれたのは。

「あ〜いたいた」
「やっぱりここだったのか、ダメツナ」
「っ……!」

入ってきたのは四、五人の、クラスは違うが並盛中学の生徒で。制服ではないので一瞬分からなかったが、その顔触れは何となく知っている。
普段からいかにもガラの悪そうな生徒達で、ツナもなるべく関わりたくないと思っているメンバーだった。

「なーに一人で勝手に入ってるんだよ。とっくに消灯時間は過ぎてるだろ?」
「まぁ、俺達もだけどなー」

ツナと同じく腰にタオルを巻いただけの男達が、にやにやと笑いながら近付いてくる。ツナは、居心地の悪そうにうつむいた。

ただ、身体を見られるのは嫌だが見付かったのが彼らで良かったのかもしれない。これが教師だったら、きついお叱りを受けていただろうから。

「ご、ごめん…じゃあ俺、先に…出るから……」

だからさっさと上がって、部屋に戻ろうと……そう思ったのだ。

だが、

「まぁ待てよ」
「っ……!」

通り過ぎざまに、男の一人に手首をつかまれて。まさかこんな所で絡まれると思っていなかったツナは、今すぐに逃げ出したい気持ちになった。

すると、

「な、なに…?俺、もう上がって…」
「へーぇ、やっぱりお前ってちっちぇー身体してんなぁ」
「ホント、色も白いし……女みてぇ」
「っ……!」

一番気にしていることを言われて、羞恥と屈辱に胸が締め付けられる。いつの間にか囲まれて、全員に頭の先から爪先までをじろじろと見られて体温が上がった。

そして、うつむいていたツナは気付かなかっただろう。男達が、ただからかうだけでなく……もっと別の感情でツナの身体を見ていたことを。
熱で上気した頬と身体、ほっそりとした腰や足を、舐めるように凝視していたのを。

「は、はなして…もう……」
「なーんか色っぽいんだよなぁ、お前って」
「ああ……俺、結構我慢できねぇかも」
「ぇ……っ、っ…!」

その瞬間、腕を解放されたと思ったら……突然、一人に後ろからはがい締めにされた。小さな身体は、成長期を迎えた大きなそれにすっぽりと包み込まれてしまう。

「やだっ、何っ!?んぅっ!」
「騒ぐなよ。誰か来たら面倒だろ?」
「んんーっ!」

さらに片方の手で口を塞がれて、声を出せないようにされる。抵抗しようとした手足は、他の男達に押さえられ阻まれてしまって。

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