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□Struggle!
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「はぁぁぁぁ……」

午前中が給仕係に当たっていたツナは、控室に入るなりへたり込んだ。

全員がコスプレをするという噂を聞き付けて、店には在校生も外部からの一般客も多く訪れ大繁盛していた。特にツナは、女子の思惑通り男性客からかなりの注目を浴びて、熱っぽい視線を送られたり写真を求められたりこっそりお触りされたりと……それはもう大人気だったのだ。
それがどれほど恥ずかしくて、どれほど苦痛だったか。

(でも……)

係から解放されてもこれで終わりではない。むしろ、これからが本当に大変なのである。

というのも、

「分かってると思うけど、文化祭が終わるまで服は脱いじゃ駄目だからねー!」

そうなのだ。これから自由時間なのだが、店の宣伝のためにコスプレをしたまま校内を歩かなければならない。そのため、ここでダラダラと休憩することも許されなくて。
ちなみに逆らえばどうなるか……考えただけでも恐ろしいから止めておく。

「はぁ……」

仕方なく重い腰を上げると、ツナはドアへ向かってのろのろと動き始めた。

先ほどのように、ただ醜態を生徒や一般客にさらして恥ずかしい想いをするだけなら……本当にまだマシなのだ。

ツナが、こんなにも憂鬱な気分に……むしろドキドキと不穏に胸を脈打たせているのは……

ガラッ

「っ……!」

ドアを開け渋々と教室を出たツナは……一瞬で身体を強ばらせた。

何故なら、

「お疲れ様です十代目っ!」
「すっげぇ可愛い格好してんのな、ツナ!」

そこには、明らかに出てくるのを待っていましたというように立つ人間が二人いて。
一人は銀髪に目付きの鋭い、アクセサリーを付けたいかにも不良っぽい男。もう一人は黒髪に爽やかな笑顔が印象的な、スポーツマンらしい男子生徒。

女の子にモテそうな容姿をした二人は、揃ってツナに笑顔を向けた。対するツナは、一瞬固まるとどこか引きつった笑みを見せる。

「獄寺君…山本……」

それは、今は違うクラスだが中学の頃からの友人であり、そして実はイタリアンマフィアのボス候補であるツナの仲間……獄寺隼人と山本武だった。

二人ともウェイトレス姿のツナを見て、さらに表情が輝いていく。

「ああ、何て愛らしいお姿で……!」
「ホント、良く似合ってるぜ!」
「あ、あはは…ありがとう……」

全然嬉しくない誉め言葉に渇いた笑みを返しつつも、ツナは何故か仲の良いはずの二人を警戒していた。むしろ、じりじりと横に動き距離を取ろうとしている。

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