Main4
□Struggle!
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きゅ、と締まったウエスト部分の後ろには前からでも見えるほど大きなリボン、ふんわりしたスカートはちょっと屈めば中が見えてしまうのではないかというほど短くて……そこから伸びる白くて細い足も、やはり真っ白で細かなレースの施されたニーソックスに包まれていた。
ふわふわの頭にちょこんと乗せられたカチューシャにも、もちろんフリルがたっぷりと付けられていて。
そして、大きな瞳で幼い顔立ちをしたその生徒は……どこからどう見ても、可愛らしいウエイトレスさんだった。
だが……先ほども述べたように、ここは男子用の更衣スペースである。
つまり、
「想像してた以上の可愛さね!女の子にしか見えないわよ!」
「ううう嬉しくないよぉぉっ!」
そう、このどこからどう見ても女子なその生徒の名前は沢田綱吉―――れっきとした男なのである。
『ちっさい男子はさぁ、女装とかしたら面白いんじゃない?』
『それ賛成!ほら、沢田とか絶対に似合うって!』
『んなぁぁぁっ!?』
コスプレ喫茶をすることになり、各々が着る衣装を決めていた時……何を思ったのか、クラスの女子生徒がそんなことを言い出して。それに乗ってきた他の生徒達に推し進められるうちに、いつの間にか女装することに決まっていたのだ。
もちろんツナは抗議したのだが、クラスの女子の前で自分の力など無きに等しい訳で……有無を言わさず、決定事項となってしまったのだった。
「やっだぁ超可愛いー!」
「ねぇねぇ写真撮ろうよー!」
「うぅぅぅぅ!」
集まってきた女子生徒に抱き付かれたり頬擦りされたりと、いつになくモテモテのツナ。その周りにいる男子生徒も、頬を染めてチラチラと見る者もいれば何故かギラギラした目で鼻息荒く凝視する者もいて……羞恥と屈辱に、ツナは今すぐ消えてしまいたかった。
それに、
「さぁ、頑張ってお店を繁盛させるわよー!」
「おーっ!」
これが、ただたくさんの人間に見られて恥ずかしい想いをする、というだけなら……どれだけマシだっただろうか。
「……沢田の奴、マジで可愛いよなぁ」
「ああ…そういえばさ、アイツって去年も文化祭で……」
それだけでは済まないから、今すぐにでも逃げ出したいというのに。
***
「じゃあそろそろ交代ね!お疲れ様ーっ!」
一日中行われる文化祭。ツナのクラスでは午前と午後で生徒を半分に割って、どちらかを店の運営、もう片方を自由時間に当てていた。
今はちょうど正午。午後のメンバーと交代の時間である。