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□Well-matched
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そこまでは普通だったのだ。

だが違ったのは……男達が、その誰かを殴ったり蹴ったり、無理やり財布を奪い取ろうとしている訳ではなかったということ。

小柄な身体に迫る彼らは……

(……ふん……)

何をしようとしているのか分かった雲雀は、一気に高揚した気分が冷めたような感覚を覚えた。普通の暴力を振るうのならまだしも、こんな場所でそのような行為を見せられるなど不愉快だ。

だから、

「風紀を乱す奴は……咬み殺す」

すぐに完膚なきまでに叩きのめして、それで済ませるつもりだった。こんな所に長居するのも不快だったから。

「げっ…雲雀…!?」
「やべぇ、逃げ……ぐぁっ!」

雲雀の存在に気付いた男達が青ざめて逃げる前に、トンファーを振るい叩き伏せる。情け容赦など、一切ない感じさせない動きで。

一瞬でその場にいた男達を殴り飛ばすと、辺りは一気に静まり返ってしまった。

そして、雲雀は男達だけに意識を向けていたため、為すすべもなく犯されそうになっていたその生徒には見向きもしなかった。というか、弱い草食動物などを気にするつもりもなくて、さっさと立ち去ろうとしていたのだ。

だが、

「っ…雲雀、君……?」
「!」

何故、いつもなら興味を持たない自分が、その声に一瞬意識をそらされたのだろうか。
変声期を迎えたのかどうか怪しいほど高めの、透き通るような声。怯えて小さく震えたものだったが、綺麗に響く声音に。

それが何となく気になってしまって、視線をそちらに向けた雲雀は……そこで初めて、まともにその人物の顔を見たのだ。

その場にへたり込み、こちらを見上げている男……沢田綱吉を。

まだ乱暴される一歩手前だったのか、シャツを少し乱されただけの姿。だが何をされるか分からない恐怖にその顔に血の気はなく、大きな瞳には薄ら涙を浮かべている。

「………」

第一印象は、なるほどと思った。柔らかな髪と同じ色の大きな瞳、小さくて女のような顔立ち。身長も低く華奢で、乱されたシャツから覗く肌は白くどこか艶っぽい。
何よりも純粋そうで、大人しそうで……そういう対象として見られて、不思議ではない容姿をしていたから。

そこで気付いた。これが、学校で少し有名なあの沢田綱吉なのだと。

「あ、あの……助けてくれて、ありがとう」

まだ怯えてはいたが、ようやく少し安心したのかふわりと笑う彼。可愛らしくも、どこか色香の感じさせる姿。

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