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□Well-matched
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校門に立つ風紀委員を……正確には、一際存在感を放っている雲雀を見て、

「ひ、雲雀…君……!」

驚いたように目を見開くと、恐る恐る名前を呼んだのだった。

だが、

「お、おはよう……」
「………」

それも一瞬で、すぐに目をそらして俯いてしまう。そんな様子に、雲雀の眉がさらに寄せられるのも知らないで。

そして、

「い、いつもご苦労様…それじゃっ…!」

そそくさと彼の側を通り抜けると……逃げるように校舎の方へと行ってしまったのだった。

その小さな後ろ姿を見て、

(……何なのさ……)

雲雀は内心、さらに不機嫌そうに呟いた。少し、拗ねているようにも見える。


そう、雲雀が近頃不機嫌な理由……それはツナと呼ばれた上級生、沢田綱吉が原因だった。

現在三年生のツナは、入学した当時から勉強、運動、何をやらせてもダメダメという特技を持つ、並中でも少し有名な存在だった。
ただ、大人しい性格であまり行動的でないため、雲雀は今までツナの存在を別段気にはしていなかったし、問題行動を起こさない限り一度も接触することはなかっただろう。

だが……それは、今年度の新学期が始まって間もない頃のことだった。

この時期は、何となく生徒達がそわそわして羽目を外す者も多い。特に、いわゆる素行の悪い生徒達が問題を起こすことも頻繁にあるので、風紀委員は朝の朝礼活動や放課後の校内、校外の見回りを強化していた。

そしてその日の放課後、雲雀は良く生徒達がたむろする商店街へと足を向けていて。

『―――!』
『――、―――!』

その時、すぐ近くの路地裏から聞こえてきたのだ。複数の怒声や卑下た笑い声と、消え入りそうなか細い声が。

どうせカツアゲか何かくだらないことをしているのだろうと、雲雀はむしろ嬉々としてそちらへ向かった。
被害者を助けようなどという意思はない。ただ彼は、風紀を乱す人間を滅多打ちにしたいだけなのだから。

だが狭い建物の間を抜けて、少し開けた場所に出ると……そこで行われたのは、カツアゲとは少し違っていた。

一人の生徒が壁に追い詰められて、それを囲むように複数の生徒達がいた。囲まれている生徒の姿は不良の陰に隠れて見えないが、どうやら小柄な男子生徒で怯えているのが分かった。
囲んでいる生徒達は、後ろ姿でも分かるくらい制服を着崩し派手なアクセサリーを付けて、きっとだらしのない笑みを浮かべているだろう。

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