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□A failure
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執務室として使うこの広い部屋の奥には小さな扉があり、そこから白蘭のプライベートルームへと繋がっている。

白蘭はまっすぐにそこへ向かうと、彼以外誰も入ることのできないその部屋のドアを開けた。そして先に中へ入って、レオ……骸に手招きをする。

「ほら、こっちこっち」
「で、ですが……」
「いーから、早くおいでよ」

本当は行ってはならない、と心の声がそう言っている。だが命令に逆らうことはできない。
流行る心臓を抑えながら、骸はその部屋へ入った。

中は執務室ほどではないが広い寝室になっていて、奥にはキングサイズのベッドが置かれている。

そして、

「っ……!」

そちらに目を向けた瞬間、骸はこれ以上ないほどの驚愕に目を見開くことになった。

何故なら、

「っ、ん…んんぅっ…!」

そのベッドの上には、一人の人間がいたからだ。それもまだ十代前半の、幼い顔立ちのためもっと若く見える子どもが。

だが、骸が驚いたのはそこに子どもがいたからではない。

(な…に……!?)

それが、自分が良く知っている……いやむしろ、今一番会ってはいけない人物だったからだ。
柔らかい薄茶の髪に大きな瞳、小柄でほっそりとした、全てが幼くて未熟な姿。

それは、

「んんっ、ん……!」

(何、故……!)

それは間違いなく十年前の、そして今の自分達にとっては大きな希望である……沢田綱吉だった。

ベッドに横たわる彼は両腕を手枷のような物に戒められて、ヘッドに繋がれ逃げられないようにされている。服は、上はカッターシャツ一枚で前をはだけられ、下は下着だけだった。
口には布で猿轡をされていて、くぐもった悲鳴を上げることしかできない。

その表情は恐怖に染まり、大きな瞳には涙が浮かんでいた。

「どう?驚いた?」
「っ、は……」

驚きすぎて思考を停止させていた骸は、白蘭に声を掛けられはっと我に返る。

何故彼がここにいるのか、一体どうやって……問い詰めたいことはたくさんあるが、下手をすれば自分の正体がばれてしまう。

喉元まで込み上げてきたものを堪えて、骸は白蘭に向き直った。

「び、白蘭様…彼はまさか、十年前の……」
「そ。ボンゴレ十代目の沢田綱吉クン。この時代の彼も魅力的だったけど、十年前はもっとちっちゃくて可愛いよねぇ」
「っ…い、いつの間にこちらへ連れて来られたのですか…?それに…我々の目的は、ボンゴレリングなのでは……」

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