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□A failure
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実際にミルフィオーレは数日前、特殊な機械を使って過去のボンゴレの人間達を次々に呼び出し帰れないようにした。

白蘭の、とてつもない野望のために。

だが、

「………」

そんな、上機嫌に笑う主人の後ろで控えながら、レオという男は……

(……そうはさせませんよ、白蘭)

心の中で、先ほどとは一変し静かに呟いた。外から見ればその雰囲気は変わらず、気が弱くて頼りなさそうな男にしか見えない。

だがその瞳の奥、心の内には……誰にも分からないような意志を秘めていて。

(ボンゴレを潰して良いのは……この僕だけなのですから)

だがそれも当然だった。何故ならこの男は、本物のレオナルドという男ではないのだから。
この、ただの下級隊員を装い敵のボスに接触しているのは……

(好き勝手なことができるのも、今のうちです)

それは……ボンゴレの霧の守護者である六道骸だった。自分の能力である幻術を使って、姿をそっくり変えていたのだ。

彼がここに潜り込んでいるのは、もちろん敵の動向を探るためだった。そしてその極秘の情報、機密事項を密かにボンゴレに流していたのだ。

さらには献身的な部下を演じた甲斐があって、こうして白蘭の側近として近付くことができた。これからさらに上層部まで食い込んで、この危機的な事態から形勢を立て直すつもりでいる。

それにボンゴレが壊滅状態になっても、まだ散り散りになった守護者達がいる。過去から来た彼らも、そう簡単にやられるはずはない、と……

(そう簡単に我々が屈するなどと、思わないことですね)

だから自分は、今は引き続きここで敵の内部を探れば良い、と。

……そう、思っていた。

だが、

「でも、大空のボンゴレリングはもう手に入ったし、残りもすぐだよねぇ」
「っ、え……?」

それは、白蘭の一言で崩されることになる。思わず、驚いたように返事をしてしまった。

「白蘭様…今、何と……?」
「ん?聞こえなかった?だから、大空のボンゴレリングはもう僕が持ってるんだよ」

(馬鹿な……)

まだボス候補だった少年と、嵐の守護者が未来へやってきたことは知っていた。だが他の仲間が付いていたはずだし、敵と接触しても大丈夫だと思っていたのだ。

なのにこの男は、今何と言った?

「あ、そっかぁ。レオ君にはまだ言ってなかったっけ?」
「は……」
「そうだ、じゃあ今から良いモノ見せてあげるよ」

嫌な予感に、背筋に冷たい汗が流れる。手招きしながら部屋の奥へと向かう白蘭を、骸は決して演技ではなく緊張しながら追った。

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