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□A failure
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イタリア最強のマフィア、ボンゴレファミリーが壊滅状態に陥った―――その知らせは、裏の世界に激震を与えただろう。

約一週間ほど前、敵対していたマフィア、ミルフィオーレファミリーの奇襲を受けて為す術もなく陥落したという。あのボンゴレがまさか、と誰もが耳を疑った。

だが、それも不思議ではないかもしれない。

何故なら―――そのトップである十代目ボスが、その何日か前に命を落としてしまったのだから。


***


イタリアのどこかにある、巨大で近代的な建物。その最上階の、執務室と呼ぶにはかなり広く、一方がガラス張りになり外の景色を見渡せるようになった部屋に……二人の男がいた。
どちらも若い人間で、何かの制服なのか白を基調にした変わったデザインの衣服を身に付けている。

一人は黒髪にあまり特徴のない顔立ちで、身長はあるが中肉中背の……一度見ただけではすぐに忘れてしまいそうな容姿をしていた。

「―――ご、ご報告は……以上です」

緊張しているのか顔や身体は強ばり、居心地の悪そうに部屋の中央に立っている。書類を持つ手は微かに震えているようだった。

そしてもう一人は……対照的にかなり目を引く容姿をしていた。衣服と同じ真っ白な髪に酷く整った顔立ち、すらりとしたしなやかな身体……恐らく一度見れば、一生記憶に残るだろう。

「うん、ご苦労様レオ君♪」

その中でも一際目を引くのは、整った顔の中心にある酷く吊り上がった切れ長の瞳と、左目の下にある特徴的な痣だった。
そして、にこやかに笑っているはずなのにどこか冷たいものを感じさせるその雰囲気。

この男こそが、ミルフィオーレファミリーのボスであり……ボンゴレを壊滅状態にまで追い詰めた男、白蘭だった。

窓から外の景色を眺めていた白蘭は、レオと呼んだ男の報告を聞いて満足そうに笑う。

「つまりこれで、ボンゴレはもう潰れたも同然ってことだ」
「は、はい…!」

振り返った主人に視線を向けられて、レオはやはり所在なさげに視線をさ迷わせた。
だがそれも仕方がないかもしれない。この男の放つ雰囲気は、それだけで恐れを抱くようなものだから。

「じゃあ、後は過去から来たボンゴレリングを奪うだけだね」
「………」

白蘭の一番の目的はボンゴレリングだ。だがそれらは破壊されていると聞いたので、過去から所持する者達を呼び寄せる計画を立てていた。

過去の、まだ十代のボスとその守護者達を。

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