Main4
□Accident!?
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「ツナのおふくろさん大正解だぜ。この時間帯、運が良かったら貸し切り状態なんだ」
「へぇ〜、そうなんだ」
お風呂セットを持って加わった山本と一緒に、ツナは商店街のさらに奥へと向かっていた。すぐ向こうに見える、大きな煙突のある建物がその銭湯だ。
ツナは数えるほどしか行ったことがないが、山本は本当に良く利用するらしい。
ほどなく到着して、入り口にある暖簾を潜る。お金を払うと、二人で男性用の脱衣場へ向かった。
靴箱には他の客の靴は入っていないように見えたので、本当にまだ誰もいないのかもしれない。
すると、
「……む?」
「あっ!」
「おっ」
誰もいないと思っていたそこには、一人だけ先客がいた。ちょうど衣服を脱ごうとしていたその人物を見て、ツナも山本も目を見開く。
何故なら、
「沢田に山本ではないか!奇遇だな!」
「お兄さん!」
「おー、笹川先輩じゃないっすか!」
それは、同じ学校の一つ上の先輩であり、仲間でもある笹川了平だったからだ。山本に続いて二人目の知り合いとの遭遇に、ツナは目を丸くするばかりだ。
「お兄さんも、良くここへは来るんですか?」
「おお、部活が早く終わった日はな!外でトレーニングをした後いつもここを使うんだ」
「へぇ〜」
汗を流した後はすぐに風呂へ入るに限るからな!と豪快に笑う了平に、ツナもつられて笑った。
ずいぶん賑やかにな入浴になりそうだが、山本と了平がいて良かった、と。知らない客に紛れて一人で入るのは、少し居心地が悪かっただろうから。
「だがお前達が来るとは思わなかったぞ!ではさっそくひとっ風呂浴びるか!」
「そうですね!」
「早く汗流したくて堪んないのな〜」
そう言って、三人は脱衣場の棚の前に並ぶと仲良く衣服を脱ぎ始めた。
(何か、このメンバーでお風呂なんて変な感じだなぁ……)
Tシャツを脱ぎながら、ツナはぼんやりと思う。
二人はどちらも部活をしているから、合宿などで同い年と入浴することは良くあるだろう。だがツナは帰宅部な上に極力家からは出ない人間なので、こうして外で裸の付き合いをする機会など少ないのだ。
(すごく新鮮……)
そしててきぱきと服を脱ぐ二人に、ちらりと視線を向けた時だった。
「っ……!」
その身体を見て、どきりと心臓を跳ねさせたのは。上半身が露になった二人は、どちらも鍛えられたたくましい体付きをしていて、思わず見惚れてしまったのだ。