Main3
□Double-faced
3ページ/13ページ
「ツナ、何度も言うが……家の外で、必要以上に親しい人間は作るなよ」
「義兄さま……」
「お前は……ボンゴレの十代目を継ぐ人間なんだからな」
ツナはボンゴレファミリーの、ただの血族ではない。現在ボスである九代目の直系で……唯一、そのトップに立つことを許された正統な血を引いているのだ。
そのため、いずれは組織の長にならなければならない。いつ命を狙われてもおかしくない危険な地位に。
だから、
「だから、何も関係のない人間を巻き込む訳にはいかないだろ?」
「ん……分かってる」
「お前には気の毒だが……」
周りの人間を巻き込まないためには、そうするしかない……申し訳なさそうに言う義兄に、ツナも少し寂しそうな顔をする。
だが、それはすぐに花が咲いたような笑顔に変わった。
「大丈夫!俺には、義兄さまがいるから!」
「!ツナ……」
本当に、心からの言葉と笑みだった。嘘偽りなど全く感じない。
そんな義弟に、ディーノもまた笑みを零した。
「そうだな……俺は、ずっとお前の側にいるからな」
「うんっ!」
ツナがボンゴレの人間で、それも後継者であることは知らされていない。一般人として普通の学校に通っているのは、敵対するマフィアから身を守るためだ。
そのため学業を終えるまではと、ツナは本部とは別の場所にある屋敷で育てられていた。
そして、義兄であるディーノがツナの世話係なのだ。
ディーノは、ボンゴレ九代目の血を引いてはいるが愛人の息子で、正統な後継者ではない。だが幼少の頃から抜きん出ていた才能と実力で、将来有望な幹部候補と言われ九代目はいずれツナの右腕にと考えているらしい。
だからこそ、ツナの教育係に選ばれたのだ。
そして、ツナは幼い頃から親元を離れて育てられて……だが、全く寂しくはなかった。
何故ならこの優しくて頼りになる、太陽のような義兄が側にいるから。今や自分にとって一番大切で、大好きな人物だからだ。
「お帰りなさいませ綱吉様、ディーノ様」
「ただいまっ」
せっかくディーノが久しぶりにゆっくりできるというので、と今日は外で食事をして、帰ったのは日も暮れた後だった。本部とは比べ物にはならないが、一般人から見ればかなりの豪邸に、多くの部下と使用人に迎えられながら帰宅する。
「ツナ、先にシャワー浴びようか」
「うん、義兄さま一緒に入ってくれる?」
「ああ、もちろん」
ディーノはツナの世話係だけではなく、ボンゴレでの仕事もある。ただ、疲れているはずなのに優しく了承してくれる姿に、ツナも満面の笑みを浮かべた。