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□Crimson eyes
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最近良く見る夢……真っ暗闇の中にいて、そしてそこには自分の他にも誰かがいるのだ。顔も姿も見えない、ただ声なき声が響いていて。

そして、その中でたった一つ異彩を放つ、血のように赤い―――

(何なんだろう…一体……)

何度見ても良く分からない夢。ただ、何か意味があるような、何かしなければならないような……そんな胸騒ぎがするのだ。

(でも、ただの夢…だよね……)

気にはなるが、考えていても仕方がない。それよりも、早く戻らないとまた雇い主に怒鳴られてしまう……ツナはかぶりを振ると、元来た道を急いだ。

その時、

「邪魔だ、退けよっ!」
「っ、わ……!」

背後から誰かにぶつかられて、衝撃に転んでしまう。その脇を通り過ぎる複数の人間。

「何やってんだよダメツナ!」
「ボケッとするなよなぁ!」

それは、ツナと同い年くらいの、町の少年達だった。
本来、ツナくらいの年齢ならばまだ仕事はせずに、同年代の友人と遊び回っている頃なのだが……両親のいないツナは、そうも言っていられない。

ただでさえ、町の大人達から嫌われているのだ。同世代からも、いつも爪弾きにされていた。

「さっさと行こうぜ!」
「そうだな!今日はどうするー?」

走り去っていく少年達を見送った後、ツナは再びため息を吐いてゆっくり立ち上がる。砂埃を払って、一人でまた歩きだした。





「じゃあさ、外れの森の辺りは?」
「えーマジかよ!あの辺、いつも暗いし…たまに何か変な声聞こえるって…!」
「何だよ、ビビってんのかぁ?」
「本当だって!何でも昔、すげぇ悪いことしたこの国の王族を幽閉したっていう言い伝えが―――」


***


その日の夕方、仕事を終えたツナは疲れた身体を引きずって家へ帰った。ただ、家というのも……

「……た、ただいま」

町の外れ、すぐ向こうに深い森が広がっている所に位置する、古ぼけた教会。
ぼろぼろになった礼拝堂の扉を開けて、控え目に中に声をかける。

そこには、

「ああ、お帰り。疲れただろ?」

シンプルだがどこか荘厳なローブを身にまとった、まだ年若い男がいた。この教会の神父だろうか、もう誰も参拝する信者のいない礼拝堂を閉める準備をしていたようで。

「もうすぐ終わるから、夕食にしようか」
「いつもごめんなさい、お世話になっちゃって」
「ツナ……」

ツナが申し訳なさそうに言うと、青年は少し悲しそうな顔をして彼に歩み寄る。そして、その肩に優しく手を置いた。

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