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□Let's try!
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別にやりたいから付き合っている訳ではない。しつこく誘って誤解されるのも嫌だし、大事にしたいのだが……一年以上も何もないのは、さすがの山本もいろいろ限界というもので。
だからここ最近、彼はツナを誘ってはそういうアピールをしてきた。だが、ツナは怪しげな雰囲気になるといつも上手くかわしたり逃げたりはぐらかしたり……勢い余って押し倒した時なんか、急所を蹴られて心が折れそうになった。
だが、もうそろそろ本当に我慢の限界だ。せめて理由を言ってくれれば良いのに、ツナは少しも話してくれない。
山本の悶々とした気持ちは、下半身の欲求不満と一緒に蓄積される一方で。
「……分かった。もう良い」
「っ……!」
今日も、新しく買ったゲームをしようと誘って部屋に入れた。そして、それとなく恋人同士の営みを匂わせてみたら、またもやすぐに逃げられかけたので……ついに堪忍袋の緒が切れた挙げ句、こうやって(今度は反撃されないように)組み敷くことになったのだった。
山本は決意した。もうツナの意思は無視することにする。
最低だと思われても構わない。強引にでも事を進めるために。
「ツナが悪いんだぜ?こんだけ焦らすくせに、のこのこ恋人の部屋にやってきて」
「っ、だって……ゃっ、待って!」
「もう待てるかよ。今までずっと、ツナを思い浮かべてオナニーしかしてな」
「わぁぁ言わなくて良いからぁっ!」
深刻な顔でそんなことを言う山本に、ツナは真っ赤。そして、今にも唇を寄せ制服を剥ぎ取ろうとするので、
「っ、言う!言うから待って!」
何とか押し退けようとしながら、必死で叫んだ。今まで一言も話してくれなかったツナのその言葉に、山本もぴたりと動きを止める。
「教えてくれんの?俺とヤりたくない理由」
「っ、ヤりたくないんじゃなくて……」
「ん?」
顔を覗き込んでくる山本を見ることができなくて、ツナは視線をそらししばらくモゴモゴと口籠もった。だがようやく決心したのか、
「っ、俺……か…感じない、んだ…」
「は?」
「だからっ、その……き、気持ち良く、なれないってこと…!」
さらに顔を真っ赤にして言う恋人に、山本はきょとんとした。意外な言葉だったらしい。
「え…そう、なのか…?」
「……う、ん……」
「えーと、じゃあ……一人でする時も?」
「っ、そうだよ…!だから、自慰なんか全然…やらないし……」
だから抱かれたくなかったのだ。自分が気持ち良くなれないのに、相手が気持ち良くなってくれるはずがないから。