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□Let's try!
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絶体絶命―――その言葉は、まさしくこのような状況の時に使うものではないだろうか。

「……ようやく捕まえたぜ、ツナ」
「………!」

どこかにある誰かの部屋。テレビやタンス、いくつか家具が置かれたその空間の床の上に、二人の人間が重なっていた。

一人は短い黒髪に整った顔立ちの、身長もそれなりに高いであろう十代半ば過ぎの少年。
だが、笑うとさぞや爽やかな好青年に見えるであろう彼は、今は怪しい目付きで口端も吊り上げて、実に悪どい表情をしている。

そして、彼に組み敷かれ逃げられないように押さえ込まれているのは……薄茶色の髪に大きな瞳をした、同い年くらいの小柄な少年だった。
穏やかではない状況に、少年はそれでも気丈に口を結び男を睨み返しているが……その表情には焦りが見え、頬には冷たい汗が流れている。

「今日という今日は観念してもらおうか……なぁ、覚悟しろよ」
「っ……!」

まるでドラマの悪役のような台詞を吐く男……山本武に、ツナと呼ばれた少年……沢田綱吉は、己の窮地を思い知らされたのだった。


この二人、別に仲が悪い訳でも敵対している訳でもない。
むしろ……付き合っていたりする。つまり、恋人同士なのだ。

そんな二人が、何故このような状況になっているかというと、

「……マジで今日は最後までヤるからな」
「っ……ヤダ」
「っ、何でだよ!俺達まだ……一回もシてないんだぜ!?」
「おおおおっきな声で言うなー!」

そう、揉めているのは……何を隠そう恋人同士の営みのことで。


中学で仲良くなり、それが恋にまで発展して……ようやく実を結んだのが、高校生になった時。それから一年と少し、二人は順調な関係を築いていた。

……たった一つのことを除いては。

それが、その……恋人同士のモゴモゴなことなのだが。

「だからさ、何が嫌なんだよ?言ってくれなきゃ分かんねぇだろ?」
「………」

付き合い始めてこのかた、ツナと山本はキス以上に発展したことがなかった。そういう欲求が強くなる年頃、山本は身体でも愛し合いたいのだが……ツナが、頑なに拒絶をするのだ。

もちろん、自分達はまだ未成年だし男同士だし、不安だったり怖い気持ちはあるだろうが……

「怖いのは分かるけどよ、なるべく痛くないように頑張るからさ」
「っ、そういうことじゃなくて……!」

もちろんそういう想いもあるだろう。だが、ツナが拒否するのはまた別の理由があるようなのだ。

そしてツナは、何度聞いても教えてはくれない。

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