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□Half asleep
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「っ、もうっ…親子揃って、からかわないで…!」
そう……デイモンと、そして後ろにいる骸と呼ばれたこの少年、実は親子なのだ。確かに顔立ちや雰囲気は似ているし、納得できるのだが……いかんせん気配が独特すぎて、いつもそちらを気にしてしまう。
「からかったことなどありませんよ」
「うひっ!?」
「そうですよ。可愛らしいから触れたい、ただそれだけでのことです」
「はわわわわ!」
すると、背後から骸が何やら怪しく上半身を撫で回して、逃げようとしたら前から挟むようにデイモンが身体を密着させてきて。
(っ、だめ……!)
全身にぞくりとした何かが走った瞬間、
「っ、やだっ…!」
ツナは、渾身の力で二人を突き飛ばしていた。顔は真っ赤になって、息も乱れている。
「っ、も…二人とも、悪ふざけしすぎ!」
「綱吉―――」
「お、俺っ…部屋にいるから!」
誤魔化すように言うと、ツナは二階にある自室へと慌てて向かったのだった。
「おやおや……」
「……悪ふざけのつもりはないんですけどねぇ」
残された二人が、また独特の笑い声を上げたのも知らないで。
***
ツナは、ここから少しだけ離れた場所にある大学に留学している日本人だ。両親の仕事の都合上、一人でイタリアへ行くことになった彼は、両親の知り合いでもあるデイモンの家にホームステイすることになった。
もちろん最初は不安だった。
デイモンはあの雰囲気だけでなく、常に家にいて何の仕事をしているのか良く分からないかなり怪しい男だったし。その息子である骸も、まだ中学生で年下なのに酷く大人びて、あまり人付き合いなどなさそうに見えたから。
だが一緒に生活してみると、デイモンは良く世話してくれるし親切だし、骸も驚くほど良く懐いてくれて今ではすっかり慣れた。
ただ、やたらスキンシップ(というかセクハラ)が多いのが気になるのだが……だがそれも、彼らなりの愛情表現なら、と無理やり納得させて。
だが、
「ご、ごちそうさまっ」
その日の夜、食事を終えたツナは早々に席を立ち部屋へ戻った。下宿させてもらっている身で失礼かと思われたが、二人はいつも気分を悪くした様子はない。
それに、早く行かないとまた先ほどのような過剰なスキンシップをされてしまうから。
「……はぁ」
自分に与えられたシンプルな部屋の、ベッドで膝を抱えて座りながら……ツナはほぅと息を吐いた。
スキンシップには慣れた。びっくりはするけれど、もう諦めかけている。