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□留まり木
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(だ、めだ…気絶したら…駄目だ……!)
これ以上軽蔑される訳にはいかない。だが、遠退いていく意識を何とか引き戻そうとしても、最早視界は白く染まって何も見えない。
あるのはただ、死んでしまいそうなほどの快楽だけ。
そして、
「お前は…お前のここだけは最高だな……綱吉」
「っ、ぁ……!」
耳元で侮蔑するような、だが熱の籠もった声が聞こえた瞬間、
「っひ…く…っっ……!」
絶頂の嬌声は、声にはならなかった。身体が硬直してびくびくと何度か痙攣した後……すぐに二度目の白濁を吐き出してしまう。
「っ……」
「ぁ……!」
同時に後ろに熱いものが注がれて……白く染まっていた視界が、一気に暗くなっていく。
(だめ、だ…も、う……)
駄目だと分かっているのに。落ちるようにブラックアウトしていく意識の中で、綱吉は……
(陛、下……)
それが限界で……ベッドへ沈み込むと、静かに意識を手放したのだった。
「………」
ぐったりと動かなくなった少年を見て、美麗の王はようやく己の怒張を引き抜く。顔を覗き込めば、上気した頬には一筋の涙の跡があった。
「……綱吉」
綱吉は知らないだろう。ジョットが、そう名前を呼び涙に濡れた目元を静かに拭ったのを。
***
母国に帰って約一週間。綱吉は、数日前から特殊戦闘部隊に復帰していたのだ。まだ隣国黒曜との抗争が続いて、いつ大きな紛争が起こるか分からない状態だから。
いなくなられては困るほど、彼にはその実力があった。
だが、それはただの名目だと綱吉は思っている。自分の存在意義は、ジョットの欲望の捌け口になることなのだから。
本来ならば軍に戻ることも、軍位を与えられていることさえも許されないはずだ。
だが、ジョットがそんな綱吉をただ側に置いておくだけでは不審に思われるから……だから形だけでも、まだ部隊長を続けることになったのだろう。
現に綱吉が地下牢に入れられている時、部下である隊員がジョットに強く許しを請うていたらしい。
「―――隊長、顔色が優れないようですが……」
現在王都にいる隊員全員での訓練中、指揮を執っていた綱吉に部下の一人が気遣わしげに声をかけた。
「……ああ、大丈夫だ」
「その……まだ万全ではないようでしたら、無理をなさらないで下さい」
「分かっている」
まだ心配そうな部下に薄く笑って、だが綱吉の表情には明らかに疲労の色が見えた。