Main3

□An instinct
4ページ/8ページ



顎を強くつかまれて、乱暴に視線を合わせられる。その激しい色をした瞳に、ツナは心臓を鷲掴みされたような気持ちになった。

殺気だけではない、何か別の激しいものがその奥で燃え上がっているようで。

「ここは、ヴァリアーの……俺の領地だ」
「っ……!」
「これからてめぇは、一生俺の奴隷になる」
「ひっ…や、だっ…!」

言葉の意味はまだ分からない。だがここから出られないという事実と、再び身体に顔を埋めてきたザンザスに良くないことをされるのは分かって……ツナは再びパニックを起こした。
こんな場所で一生酷い目に合わされるのなら、やはりあの時死んだ方がマシだった、と涙を零して。

だから先ほど感じた、ザンザスの瞳の奥にある何かは分からないままだった。

「やだっ…ゃっ、ぃゃぁ……!」

押し退けようとする手をあっさりと頭上に縫いとめられて、胸元に唇と舌が這い回る。先ほどよりも何故か熱くなった吐息に、いつまた噛み付かれるか分からない恐怖に、ツナはがむしゃらに身体をばたつかせた。

すると、

「チッ…!」
「ぅぁっ…!」

バシッ!と渇いた音が響いて、頬に鋭い痛みが走った。打たれたのだと思った時には、再び鋭い視線に睨み付けられていて。

「ひっ…ゃ……!」
「次に逆らえば……てめぇの知人を殺す」
「っ……!」

その言葉は、何よりもツナの心臓を冷えさせただろう。今、この男はとんでもないことを言ったのだから。

「本来ならばてめぇも、その仲間も皆殺しにするつもりだったんだ」
「っ、っ……!」
「それを、てめぇを飼うだけで我慢してやった。だから、逆らえばどうなるか……分かるな?」

あのまま、リングを巡って戦っていればどうなっていただろうか。仲間は強いし、それぞれが訓練して力を伸ばしてきた。
だが相手はプロの殺し屋で、経歴も経験も何もかもが違う訳で。

もしかしたら最悪……そこまで考えて、ツナは血の気が退いていくのを感じた。

だから、

「てめぇに選択の余地はねぇ」

始めから決まっていたのだ。自分は、ここから逃げられないということが。

「………」
「……フン」

青ざめたまま動けなくなったツナに満足そうに笑うと、ザンザスはつかんでいた手を離して肌を撫で回し始めた。もう片方の手は、ベルトを外そうと下半身で蠢く。

「な、に…するの……?」

抵抗はできない。だが何をされるのか分からないのが怖くて、ツナはただ消え入りそうな声で尋ねてしまう。

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ