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□Internal trouble
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そんなまっすぐで純粋な教え子を、
「ふ……」
少しからかってやろうと思ったのは、ほんの出来心で。
「―――っと」
拳を避けた瞬間に放たれたXバーナーもひらりとかわして、リボーンはツナから少し距離を置いた場所へ降り立った。そして、にやりと笑う。
「さすがに、本気のオメーを相手にするのは骨が折れそうだ」
「リボーン、ふざけるなよ!お前が俺相手にそんな…」
「嘘じゃねぇ。だから…」
その瞬間、ツナは大きく目を見開いた。ぼんっ!と何かが破裂するような音がして、同時にリボーンの身体が白い煙に包まれたのだ。
「リボーンっ…!?」
だが慌てて駆け寄ろうとした足は、そこにある鋭い気配に思わず止まった。リボーンの気配が消えて、別の……いや、同じのようでどこか違う何かがそこに出現したのだ。
やがて、煙幕のようなものがようやく晴れたかと思ったら、
「な……」
そこにいた人物に、ツナは今度こそ絶句した。
何故なら、
「だから、今日はこの姿でねっちょり指導してやるからな」
そこにいたのは、先の戦いで二度も危機を救ってくれた、あの黒ずくめの男だったからだ。すらりとした長身を黒のスーツに包み、ボルサリーノを目深に被った青年。
服装と同じ漆黒の瞳は鋭くて、そして誰もが見惚れるような美形だった。
「な、んで…」
「ん?ああ……俺も良く分からねぇんだが、少しの間だけなら元の身体に戻れるらしいな」
身体や顔付きは随分違うが、その服装や言葉遣い、何よりもその雰囲気は……自称家庭教師であるヒットマンそのもので。
アルコバレーノの呪いは溶けたのだが、リボーン達は元の大人の姿に戻ることはなく……これから成長するのだろうという結論を出した。だが、どうやら一日にほんの僅かな時間なら、自分の意志で戻ることができるようになったらしい。
だが、淡々と説明するリボーンにツナは、
「え…まさか…リボーン…だったのか…?」
「………」
そういえば、とリボーンはようやく気付く。ツナは感が鋭いはずなのに、いや感がなくても誰もが分かりそうな状態だったのに、最後までこの姿の人物がリボーンだということに気付かなかったのを。
だからツナは、リボーンが元の姿に戻れたということよりも、あのリボーンがこの青年だったという事実に衝撃を受けているらしい。
(ほんと、面白ぇ奴だな)
だからこそ、苛めたくなるのかもしれない……そう思いながら、リボーンは再びにやりと笑った。