Main3
□Internal trouble
1ページ/11ページ
「―――っっっだからっ!俺はマフィアのボスになんかならないって言ってるだろーっ!」
穏やかに晴れ渡った、絶好の行楽日和。
空気の澄んだ爽やかな森の中には、だがその雰囲気にそぐわない叫び声が響いた。
場所はどこかの森の奥深く。周りは木々ばかりで、辛うじて人が歩けるように舗装されているのだが、ハイキングコースでもないのか辺りに人の姿はない。
いや、二つだけあった。
一人は中学生くらいの、薄茶色の髪と大きな瞳をした小柄な少年。Tシャツに薄手のパーカー、年相応の格好をしている。
そしてもう一人は、
「オメーこそ何度言わせるんだダメツナ。ボンゴレ十代目になることは、もう決定事項だぞ」
「いやいやいや!何自分が正しいみたいに言ってるんだよ!」
もう一人は、随分年齢不相応な格好をしていた。漆黒のボルサリーノにスーツを身に付け、片手に黒光りする拳銃を持って……だが、誰がどう見ても赤ん坊で。
「という訳で、今日も修行に励めよダメツナ」
「人の話聞けよリボーンっ!絶好に嫌だからな!」
それはイタリアのマフィア、ボンゴレファミリーの十代目候補である沢田綱吉(本人不本意)と、その家庭教師であり最強のヒットマン(自称)であるリボーンだった。
これまでずっと平凡な日常を送っていたツナ。それがこの自称家庭教師である赤ん坊が来てからというもの、マフィアのボスになるためと言ってはいろいろなことをさせられたり巻き込まれたりした。
もちろん、大変なことばかりだがそのおかげで多くの友人や仲間もできて、ツナは心身ともに充実していた。
ただ、だからといってマフィアのボスになるつもりは全くない訳で。
「ったく、相変わらずだなオメーは。代理戦争の時は、もうだいぶボスらしくなってきたと思っていたら」
「不吉なこと言うなよ!それに、あれとこれとは話が別だろ!」
数週間前、ツナはリボーン達アルコバレーノの呪いを巡った壮絶な戦いに巻き込まれた。最終的には何とか呪いを解き、平和な日常に戻ったかと思われたのだが、
「とにかく、俺はお前を立派なボスにするまでイタリアには帰らねぇからな」
「っ、断固断る!」
リボーンはというと、呪いがあろうがなかろうが相変わらずの調子で。ようやく傷が癒えたかと思ったら、また修行だとか何とか言ってツナを振り回すのだ。
今日だって、休日だからとゴロゴロしていたツナを殴って起こして……無理やりに、この人気のない森の中へ連れてこられてしまった。