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□籠の鳥
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だが、

「何度も言わせるな。あれは失態を犯した上に、あろうことか敵国の手に落ち国家の醜態をさらした。しかるべき罰を受けるのは当然だ」
「っ、しかしそれは…隊長は、私達隊員を庇って…!」

一月ほど前、とある事情から敵国との国境近くまで赴いたジョットと、その護衛を任されていた獄寺達。だがその途中、どこから情報が漏れたのか突然敵国からの奇襲を受けて……その際に、ジョットや獄寺達を庇った綱吉は敵に捕らえられてしまったのだ。

それから一月近く経ち、度重なる交渉を経て……様々な条件とともに、ようやく綱吉を解放し国へ戻すことができた。

だが……これ以上ないほどの喜びに包まれた獄寺達を待ち受けいたのは、信じられないような事実で。

『―――沢田綱吉隊長を地下牢へ連れていくようにと、国王から命じられました』

自分達の腑甲斐なさのせいで、敵国に捕らえられた敬愛する存在。この一月の間、その部下である獄寺達がどんな想いで生きてきたかなど、誰にも理解できないだろう。

だが、もう駄目かもしれないと思っていた存在が戻ってきたのだ。敵国の手に落ち、無事に帰ってきた人間などほとんどいない。

だから、心底喜びを抱いたというのに……その綱吉は、ジョットの命により地下牢へ入れられ、誰一人として会うことを禁じられたのだ。

「どんな状況であれ、あれが失態を犯し敵に捕らえられた事実は変わらない」
「っ……!」
「それにお前達の責任だと言うのなら、なおのこと指揮を執る者が罰を受けるのは当然だろう」

だがジョットは、どこまでも冷たく言い放つだけだった。そして最もな言葉に、獄寺は何も言い返すことができない。

「何よりも……敵の手に渡った時点で、あれは私の手の者ではなくなった」
「っ、な…そんな…!」

それが何を表すのか、意味を理解した獄寺はさすがに色を失った。同時に、目の前が熱くなるのを感じる。

「まさか……隊長は、そんな方ではありません!あの方は誰よりもボンゴレを愛し、そして陛下に全てを捧げる意志を持っています!裏切るような真似など…!」

綱吉は下臣の誰よりもジョットを敬愛し、彼の者に仕えることが唯一の存在意義だと感じていた。一生、主人に命を、全てを捧げる覚悟で……その強い意志は、一番近くにいた獄寺が良く知っている。

だからこそ獄寺も主人に、国に全てを捧げるつもりで……一生、綱吉のサポートをする覚悟を持っていたのだ。

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