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□Developing
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というのも、告白して了平から承諾は得たのだが……確かに一緒にいる時間は増えた。だが、こうして二人だけで話したりどこかへ出掛けたりと、その距離は付き合う前とあまり変わっていないのだ。
だから、キスどころか身体をくっ付けたり手を繋いだりもしたことがなくて……そんな気配もない了平に、そもそも彼はあの告白をどういうつもりで受け取ったのだろう、と思うほどで。

ツナも性欲というか、そういう欲求はそこまで強い方ではないのだが……やはり年頃な男子高校生。興味はあるし、好きな人とそんなことをしたいと思うのは当然だ。

(お兄さんは…そういうのは、全部ボクシングへ向かってるんだろうな……)

そして自分のことを、やはり弟か何かにしか見ていないのでは……微かな欲求不満に悶々とするだけではなく、今さら不安にもなってきて。

だが、こうしていても絶対に仲が進展しないことは良く分かっている。黙っていては、了平には全く伝わらないということも。

だから、またこちらから行動を起こさなければならないのだ。あの時の告白と同じように。

実を言うと、今日はそれを伝えるために少し前から心の準備をしていた。

「そうだな…ちょっと離れた所に、最近大きなゲームセンターができたから…」
「お、お兄さんっ!」
「ん?」

まだ一人で思案していた了平の言葉を遮るように、ツナは不自然なほど裏返った声を発していた。その表情は耳まで真っ赤で、がちがちに緊張している。
鈍い了平にはそんなことは分からないので好都合だが。

「どうしたのだ?」
「あ、あの…どこかへ行くのも良いんですが…その…」

ただ、やはり少し躊躇われるのか口籠もってしまう。それでも、ツナは何とか己を奮い立たせて、

「その日、もし良ければ……お、俺の家に来ませんか!?」
「沢田の家に?」
「は、はいっ…家族とか、その日は誰もいなくて…その、二人でゆっくりできますよ…!」

誰もいない家に恋人を招く……それが何を意味するのか、普通の人間なら分かるだろう。というか、ツナの表情を見れば分からないという方がおかしい。

そして、そんなツナの決死の誘い文句をぶつけられた了平は、

「おお、たまには家でゆっくりするのも良いな!ではそうしよう!」
「ぁ、は…はぃ…!」

さすがというか、ここまで来るとある意味尊敬したくなるほどの鈍感さで。

だが、それはツナも予想済みだ。むしろ、断られなくてホッとしている。

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