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□Inside fence
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学校生活の中で、生徒にとって一番億劫なもの―――定期試験。それが終われば、誰もが心地好い解放感に包まれる。

だが、

「はぁぁ……」

並盛中学に通う生徒の一人……ツナにとっては、ある意味試験の後が一番の苦痛だった。


(ぅぅ……)

テスト明けの学校で、彼は憂鬱な気分で自分の席に座っていた。机の上には、一枚の薄い紙。

テストが終わった後の最初の授業では、どの教科も答案用紙の返却が行われる。つまり、今ツナの目の前にあるのは、数日前に受けた試験なのだ。
それも、赤いペンでペケ印のたくさん付いた……むしろ丸印の方が少ない、見るからに悲惨な結果の。

そう……勉強や運動、何をやらせてもダメダメなツナにとっては試験期間中も辛いのだが、それよりもその後の返却期間が一番の苦痛の時間だった。
何せ赤点は当たり前、一桁なんて点数も珍しくない。

答案用紙を受け渡される時、教師から怒られたり嫌味を言われたり呆れられたり、さらにはクラスメイトに笑われたりするあの瞬間が……ツナは何よりも恥ずかしくて自分が情けなくて、惨めな気持ちになるのだ。

つい先ほども……現在の授業は理科で、どの教科も苦手だが特に理系は壊滅的なツナのテストは、見事に一桁という数字が印されていた。
その解答用紙を手渡された時の教師の顔といったら……もう思い出したくもない。

だが、苦痛の時間はクラスの中で恥をさらすだけでは終わらなかった。


「―――沢田!」
「っ……!」

授業後、ツナは理科教員に教室の隅まで呼び出された。嫌な予感に男の側に行けば、案の定彼は難しい顔をして、

「言ったな沢田?今回のテストで落第点を取れば、補習を受けてもらうと」
「……はぃ……」

ツナのクラスを担当する理科教師は四十代の陰鬱な雰囲気の男で、あまり生徒からの評判も良くない。
ツナも男は苦手だった。この暗い瞳に見つめられるのは何だか怖くて。

今も、値踏みするような視線でじろじろと見られて酷く居心地が悪い。

「今日から放課後、しばらく理科室準備室へ来なさい」
「……はぃ」

分かってはいたが、この教師との補習は考えただけでも気が滅入る。

どのくらいの時間絞られるのだろうか……と、ツナは待ち受けている憂鬱な時間に、とぼとぼと席に戻ったのだった。

「………」

その後ろ姿を、理科教師はしばらくじっと見つめていた。

眼鏡の奥に、仄暗い影を隠した瞳で。


***

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