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□The best farce
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「―――吉」
「……ぅ…ゃ、ぁ……ぃゃ……!」
「―――沢田綱吉!」
「っ……!」

鋭く名前を呼ばれて、ツナははっと目を見開いた。視界に入ってきたのは、薄暗い中どこか古ぼけた天井。

「っ、はぁ…はぁっ……!」

心臓が全力疾走したかのように激しく脈打っている。今まで見ていた悪夢がまだ五感に残っているようで、身体は微かに震えていた。

そして、ふと視線を移せば、

「っ、ぁ……」

そこにいた人物に、ツナはさらに大きく目を見開いた。

「っ、む…くろ……?」
「目が覚めましたか」

それはかつて敵であり、今はツナの霧の守護者であるが味方なのかどうか良く分からない男……六道骸だったのだ。

どうやらここは黒曜ランドで、自分はソファーで眠っていたようだが……

「な、んで…おれ……」
「覚えていないのですか?君、不良に襲われていたのですよ」
「っ、ぁ……!」

そこで、ツナは今まで何をしていたのか……いや、何をされていたのかを思い出した。
記憶に残るのは、複数の下卑た笑み。乱暴にねじ伏せられ、衣服を暴かれ自分のナカに凶悪なモノが突き刺さって……痛みと恐怖がよみがえってきて、思わず自分の身体を抱き締めてしまう。

「ぁ…や、だ…ゃっ、おれ……!」

身体の震えが止まらない。打ち付けた全身の痛みや後ろの激痛が今になって感じられて、再びパニックを起こしてしまう。

その時、

「……落ち着きなさい」
「っ……!」

ふわりと暖かいものに身体を包まれて、ツナは信じられない気持ちになった。

何故なら……あの骸が、自分を抱き締めていたから。

「ぇ…ぁ…むく……」
「黙って……良いから少し大人しくしていなさい」
「ぁ……」

頭を骸の胸に押し付けられて、髪を撫でられる。背中に回された手もあやすかのように触れてきて……ツナは、もう限界だった。

「ふ、ぇっ…むくっ…むくろぉっ…!」
「全く、情けないですね」
「だって、だってっ…こわかっ、た…よ、ぉっ…!」

しなやかな身体にしがみ付いて、小さな子どものように泣きじゃくってしまう。

本当に今日はいろんなことがあった。不良に襲われて、もう駄目だと絶望したら……まさか目の前にいる骸が助けてくれて、今こうして慰めてくれるなんて。信じられないことばかりだ。

「安心しなさい。あの男達は叩きのめしておきましたから、もう襲ってくることはないでしょう」
「う、んっ…うんっ…!」

いつも自分の命を狙っていると言っていた骸が、こんなにも優しいなんて。

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