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□Tragedy or?
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(やっぱり……)
白蘭の目的は、始めから自分の命だったのだ、と。
マフィアのボスである白蘭が自ら手を下したとすれば、必然的にツナが動くことになる。ずっと、このような機会を狙っていたのだろう……と、ツナはそう結論付けた。
それが、大きな間違いであることを知らないで。
「……なら、どうしてもやるつもりなんだな」
ツナは、もう一度確認するように尋ねながら、自分も指輪のはまった手を持ち上げた。
自分の命が目的だという可能性も考えなかった訳ではない。だが、これまで白蘭は何を考えているのかは分からない男だったが、殺気やそんな気配が感じられることがなかったから、まさかと思っていたのだ。
だから、間違いであることを望んでいた。なるべく争いたくないという気持ちはもちろん……白蘭は、マフィアのボスでなかったとしたら、普通に友人として接することができそうな人間だと思ったから。
だが、
「ずっと待ってたよ……こうして、君と二人きりになることができるのを」
白蘭の瞳は、獲物を狙う獣のそれで。
「なら……覚悟は良いな」
ツナは、今感じた残念な気持ちを捨て去った。この男は倒さなければならない。ファミリーを守るために。
「行くよ……?」
その瞬間、二つの影が同時に動いた。
***
月の光に照らされた森の中で、二つの炎がぶつかり合う。
「―――!」
ツナは、自分に向かってくるいくつもの白い龍……相手の匣兵器を炎で焼き切ると、白蘭との間合いを詰め拳を叩き込んだ。
細い腕から繰り出される強烈なそれを交わして、白蘭が再び攻撃を仕掛ける。
常人には考えられないような、人間離れした戦い。だが、ツナは本気でぶつかっているとはいえ、決して相手の急所は狙っていなかった。
他人の命を奪いたくないというのはずっと変わらない想いで、二度とボンゴレに手を出させなくできれば良いのだ。
だが、
(どうして……)
戦いながら、ツナは全く腑に落ちなかった。
自分は始めから白蘭に対して殺意はない。戦闘不能にするか、リングを破壊できれば良いのだから。
だが不思議なのは……白蘭にも、その気配が全く感じられないのだ。以前会った時と同じ、つかみどころのない笑みを浮かべて……戦闘を、ただ単に楽しんでいるだけのようにも見える。
(何を考えている……?)
白蘭は、自分の命を狙っているのではなかったのか。もしくは、何か企んでいるのか……全く分からない。