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□Tragedy or?
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だがこの白蘭という男は変わった人間で、各国のマフィアが集まるパーティーなどで会う度に、ツナにデートをしろだの恋人になれだのと冗談を言う。そしてスキンシップも多い。
初めて会った時からそうだった。いつも、何を考えているのか分からないおどけた調子で。

別に取り入ろうとしているとか、危害を加えようとしている風には感じられない。だが得体が知れないし、深く関わるといけない気がして……ツナは相手にしなかったのだ。

だが、それから白蘭はボンゴレにちょっかいをかけるようになった。ファミリーの人間に不必要に接触したり、わざとボンゴレの領域内で騒ぎを起こしたり。
それだけではなく、ネット上から侵入しデータを抜き取ったりして。

ミルフィオーレの仕業だという確信はなかったが、綿密に調べるとその可能性が高いことが分かり、ツナも白蘭が関わっていると思っている。
そして白蘭はというと、会えば相変わらずの様子で……それだけではなく、アジトへ使者を遣わせてはツナを誘ったり、文を出して気紛れに愛の言葉を囁いたりするのだ。

本当に何を考えているのか分からない。だが、このまま放っておけば何だか悪いことが起こりそうな気がして……だからツナは、白蘭に真意を確かめることにした。
これはツナの独断で、仲間には伝えていない。まだ全てが白蘭の仕業かどうか分からないから。

だが、直感が告げているのだ。この男はどこかおかしい、と。

「何を企んでいるのかは知らないが、これ以上俺達に不用意に接触するな」
「………」
「でないと問題が大きくなって、それこそ敵対することになる。無駄な争いはしたくない」

温厚で、誰よりも戦いを厭うボンゴレのドンは、だがファミリーを守るためなら容赦はしないという強い意志を持つ。

「……ふ、あははっ」

そんなツナをしばらく眺めた後、白蘭はいきなり声を上げて笑いだした。この状況で不釣り合いな反応に、ツナは剣呑に眉を寄せる。

「何がおかしい」
「ああ、ごめんね。でもさ、もしそれが本当の目的だって言ったらどうする?」
「……何?」

その瞬間、白蘭の目がすっと細められて……それが、今まで見たことのないような表情で、ツナの身体に緊張が走った。

「僕の目的が、最初から君だって言ったら……どうする?」
「っ!」

ずっとポケットに入れていた片手を引き抜いて、胸の高さまで持ち上げる。その指にはまっていた指輪に、一変した白蘭の雰囲気に……ようやく確信した。

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