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□Enchanters!
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だが、同時に酷く落ち込んでがっくりと肩を落としてしまう。
(うぅ…またやっちゃった……)
今日のようなことは珍しくない。エリートな魔法使いを養成するこの学園の中で、ツナは実は驚くほど落ちこぼれなのだ。
魔法の実力だけではなく、一般的な教養や運動神経、何をやらせてもダメダメで。
だから箒で飛ぶこともろくにできず、いつも事故を起こしそうになっていた。
そして優しいクラスメイトはまだ良いとして、それだけで済むはずがなく、
「「―――沢田綱吉」」
「ひぃっ…!」
不意に、二つの声が同時に聞こえて、それも物凄く聞き覚えのある声音で、ツナはぎくりと身体を強ばらせた。
声のした方を見ると……一人は教室の入り口から、もう一人はツナが突っ込んできた窓からそれぞれ現れて。
「ひ、雲雀先輩…骸先輩……!」
それは、ツナの先輩にあたる二人だった。窓から現れたのは、ブレザーの制服のはずなのに何故か学ランを着ている黒髪の男……雲雀恭弥。そしてもう一人は、少し変わった髪型にオッドアイを持つ六道骸。
やはり、どちらも美形だったりする。
「今日も事故を起こしそうになって、風紀を乱したみたいだね。応接室に来てもらおうか」
「それはこちらの台詞です。君のような問題児は、生徒会からきっちり指導させてもらわないと」
「ひぃぃっ!」
実は、雲雀はボンゴレの風紀委員長、骸は生徒会長なのだ。良く危険行動を起こしたり設備を破壊したりするツナは、このツートップから目を付けられていて。
そして、
「おいテメェら!何勝手なこと言ってやがる!」
「そうだぜ。怪我もないし何も壊れたりしなかったんだから良いじゃねぇか」
それを庇おうとするクラスメイトとの口論から始まって、
「邪魔するなら容赦しないよ」
「望むところだコラァッ!」
「クフフ、魔法で僕に挑む気ですか?無謀なことを」
「やってみないと分かんないのなー」
「ややや止めてぇぇっ!校舎がぶっ飛んじゃうからぁぁっ!」
口論はすぐに暴力……本気の魔法のぶつかり合いに発展するので、ツナがいつも死ぬ気で止めることになるのだった。
(うわーん!これも全部俺がダメダメなせいだぁぁ!)
心の中でそう叫びながら。
***
そして、授業でも……
「―――コラァダメツナがぁっ!またやりやがったなぁぁ!」
「ひぃぃごめんなさいごめんなさいっ!」
とある授業でのこと。広めの講義室で行われていた実技授業で、教師の怒号と魔法の杖が飛んできた。