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そんなツナの様子に、獄寺は苦笑すると……その身体を、労るように抱き締めた。

「そんな呼び方しないで下さい……今の俺は、もう社長じゃありませんから」
「っ、ぁ…だっ、て……」
「お願いします、いつものように呼んで……」
「っ……!」

耳元で囁かれて、ツナはぴくりと身体を跳ねさせる。甘えるような声音に、かぁぁと頬が染まっていく。

そして、

「た、ただいま……隼人」

恥ずかしそうにそう言うと、獄寺の身体をそっと抱き締め返したのだった。


何故、一流企業のトップとただの新入社員が、こんなにも親密な雰囲気なのか。それも、明らかに獄寺の住まいにツナが……さらには、いつも鋭くて冷たくも感じる表情と雰囲気の獄寺が、ツナに対しては優しく穏やかな笑みを浮かべ、柔らかい声音で話すなんて……ボンゴレの社員が見れば、驚愕することばかりだろう。

だが、何も不思議なことではない。

何故なら……二人は恋人同士なのだから。


二人が出会ったのは、会社の中というつい最近のことではない。もっと前だ。

実は、ツナの父親……沢田家光はボンゴレと同系列の企業で高い地位にあり、いろんな繋がりがあって獄寺とは親しい関係だった。彼がイタリアの本社に入社した時から、沢田家とは付き合いがあったのだ。

そしてある時、休暇を利用して日本に遊びに来ないかと家光に誘われて、母親の故郷である日本へやってきた。

その時、当時まだ高校生だったツナに出会ったのだ。
出会ってすぐ、獄寺はツナの持つ温かい、そして純粋な心に惹かれた。ツナも、人見知りなため始めはどう接して良いのか分からない様子だったが、少しずつ心を開いて。

それから数年後、獄寺が年に何度か日本を訪れて会っているうちに……自然と、そうそう関係になっていた。

ちょうどその頃だ。獄寺が、ボンゴレ日本支社の次期社長に選ばれ、大学生だったツナも就職活動の年になったのは。

普通に会社勤めをするつもりだったツナは、獄寺と父親に勧められて、ボンゴレの就職試験を受けることにした。
もちろん学力も高くない自分が、激しい競争率でエリートばかりが集まるボンゴレに受かるとは思わなかった。だが獄寺と同じ会社に勤めることができたら、そして自分にもできる仕事があるなら……と。

すると驚くべきことに、他にも面接を受けたいくつもの会社は全て駄目だったのに、何とボンゴレからは内定を貰って。

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