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イタリアに本社を置く、国際的にも有名な巨大企業―――株式会社ボンゴレ。その日本支社も国内では大手中の大手で、社員は皆選びぬかれた優秀な人材ばかりだという。

そんなエリートが集まるトップ企業の、とある部署の中で、

「こらぁぁ沢田ぁぁっ!またミスをしたなぁぁっ!」

ほどよい緊張感と、てきぱきと社員が仕事をこなす爽快な空気が流れる中、それをぶち破るような怒声が響き渡った。

部署の中の、隅っこにあるスペースで……高級そうなスーツにびしっと身を包んだ中年の男が、額に青筋を立てて怒鳴っている。その声は、広い部屋の隅々にまで響くほど大きい。

そして、

「ひぃぃすみませんすみませんっ…!」

その男の前には、萎縮しきった様子で半泣きになりながら謝る若い社員。薄茶色のふわふわした髪に大きな瞳は、まだ未成年ではないかと思うほど幼く見える。

「いくら入社一年目とはいえ、初歩的なミスを何回やったら気が済むんだ!」

頭ごなしに怒鳴られて、沢田綱吉……通称ツナは、すっかり縮こまってしまったのだった。


ツナは、今年の春からこのボンゴレに入社したいわゆる新入社員だ。大学を出たばかりで、まだ新しい生活と環境に慣れてはおらず、始めたばかりの仕事ではミスをすることもあるだろう。

だが、ツナは小さい頃から勉強や運動、何をやらせてもダメダメで有名で。何故この会社に内定が決まったのか、不思議で仕方がないほどだ。
そんなツナが、初めてだらけの職場で上手くできるはずもなく……しょっちゅうミスをしては、上司に怒られる日々を送っていた。

「全く、我が社は世界に名の通る一流企業で、少しも無駄な時間を費やすことはできない訳で―――」
「ぅぅぅ……」

今日でもう何度目かになるお叱りを受けながら、ツナは瞳に涙を浮かべうつむいてしまう。どこまでもダメダメな自分に絶望して、他の社員の前で怒られるという羞恥に消えてしまいたくなりながら。

その時、

「………!」

男とツナ以外の社員の間から、微かに騒めきのようなものが起きて、その場の空気が変わった。

ツナも、ふと意識が逸れてそちらに視線を移すと、

(ぁ……!)

心臓がどきりと跳ね上がっると同時に、近くにいた女性社員達からうっとりとしたような、ため息混じりの声が漏れた。

「獄寺社長だわ……!」
「今日も何て素敵なの……!」

そう、秘書を連れ立ってツナのいる部署へ入ってきたのは、日本支社を任されている男……獄寺隼人だった。

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