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□Dog's feeling
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それからどれくらいの時間、決して空中遊泳とは言えないような凄まじい高速移動をさせられたのだろうか。

「は、はひぃぃぃ……」

不意にザンザスがどこかへ降り立ったらしく、ツナはようやく強烈な風圧から解放された。抱えられていた身体を地面へ下ろされると、もうまともに立つことも難しくフラフラになっていたが。

「い、いったいどこに……」

ずっと目をつむっていたため、ここがどこなのか分からない。どこかの林の中なのか、周りには木々があるが……だが少し離れた所から、たくさんの人々の声が聞こえてきて。

「え……?」

良く見ると木々はすぐに途切れていて、その向こうは大きな広場のような場所だった。そして大人から子どもまで、たくさんの人々がいる。

そして、

「わ、ぁ……!」

広場のさらに向こうに広がる光景に、ツナは大きく目を見開いた。奥には何か巨大なアーケードがあり、その左右にはレンガ造りの高い城壁のような物がずっと続いていて……そしてアーケードと壁の向こうには、たくさんの乗り物や建物の一部が見えていたのだ。

「ここって……遊園地!?」

最早ここがイタリアかどうかも分からないが、そこはどうやら巨大なテーマパークのようだった。意外すぎる場所に、ツナは大きな目をしばたかせる。

(でも……何でザンザスが遊園地に?)

ちらりと側に立つ男を見上げれば……相変わらず鋭い瞳で、そして無言で見下ろしてきて。とても遊園地とは釣り合いそうにない。

(本当に、何で……ぁっ、もしかして!)

ぐるぐると考えて、そこでようやくツナは閃いた。

(もしかして、ザンザス……こういう場所へ来たかったんじゃ…?)

普段暗殺部隊として暗躍する彼が、夢の国とは程遠いような容姿と雰囲気の人間がこんな所へ行きたいなど、恥ずかしくて言えなかったのかもしれない。だから、子どもであるツナが喜ぶからと誤魔化して……と、超直感を持つはずのツナは、見事なほど明後日な結論を出したのだった。

もう一度ちらりと見上げれば、相変わらず怖い顔をしたザンザスがいて。

「中に……入ろっか?」
「………」

遠慮がちに言えば、ザンザスはツナをぎろりと睨んだ後、ゆっくりと入り口に向かって歩きだした。

(や、やっぱり……)

その後ろ姿を見て、ツナは勝手に納得する。

(なぁんだ……ザンザスも、可愛いところあるんだ)


決して口には出せないことを思って、くすりと微笑みながら。

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