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□Accomplice
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ここから簡単に出られるとは思わなかった。何故なら、先ほどまでなかったはずの濃い霧の炎が、この建物全体を覆っていたからだ。
恐らく、閉じ込められたのだろう。

そして嫌と言うほどひしひしと感じる、何者かの気配……骸は、手に三叉槍を構えた。

やがて、

「ヌフフ……」

辺りにさらに強い霧が立ちこめたかと思うと、どこからともなく不気味な笑い声が聞こえてきて。

そして、

「……ようやく、姿を現しましたか」

霧の奥から現れた人物に、骸は剣呑な瞳を向けた。

その人物……独特の髪型と服装をした、まだ若い男。だがその正体は、シモンファミリーを陰で操る支配者で、ボンゴレファミリー初代霧の守護者であった……D.スペードだった。

「お会いしたかったですよ、六道骸」
「……随分、ふざけた真似をしてくれましたね」

口端を吊り上げにやりと笑うデイモンに、骸は怒りを隠そうともしない。膨れ上がるオーラに、炎に……目の前の男はさらに笑みを深くした。

「素晴らしい……一目で分かりますよ、貴方が非常に優れた術師であることが」
「………」
「知っていましたか?元々、私の標的は貴方だったということを」
「……何ですって?」

怪訝な表情をする骸に、デイモンはヌフフと声を上げて笑う。


デイモンの目的は、最強のボンゴレを作ることだ。そのために今の軟弱なボンゴレを潰して、自ら作り直そうとしていた。

そこでシモンファミリーに目を付け、加藤ジュリーになりすまして一連の事件を起こしたのだ。この二つの勢力がぶつかれば、ボンゴレも邪魔な存在であるシモンも一緒に潰すことができる、と。

そしてもう一つ、デイモンは新しい自分の身体を探していた。これまで、幾人もの身体に自分の魂を移して、時代を越えてこの世界で生きてきたのだ。
生きるためには、誰かの肉体がいる。それも、ただの身体ではない。

自分の能力を最大限に引き出すことのできる、最高の器が。

それが、ボンゴレ十代目の霧の守護者、六道骸だった。優れた幻術を操るだけではなく、六道を巡りあらゆる能力を身に付けた男。

そのために、デイモンはツナをさらった。彼の身が危険にさらされれば、必ず守護者が動く。他の守護者がシモンと戦っている間に、骸だけをここに呼び寄せたのだ。

全ては、デイモンの計算通りだった。

だが、

「ですが誤算でしたよ。まさかこの私が、あんな子どもに……」

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