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□My darling
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だが、次の日も。
「悪いツナっ!仕事が長引きそうで…!」
そして、その次の日も。
「本当にごめん!また連絡するから…!」
仕事やファンとのやり取りで、山本とは全くタイミングが合わなくて。
そして、とうとうその週で最後の日の夕方。
「………」
ツナの表情は、週の始めよりもさらに膨れっ面になっていた。
少し離れた所では、多くの女子に囲まれて振り切れないでいる山本の姿。
(……むぅぅぅぅ…)
何度も約束を反古にされて、ツナのもやもやは最高潮に達していた。仕方のないこととは言え、いくらツナでも我慢の限界はあるのだ。
(今日も…やっぱり無理なんだろうな……)
そう考えると、どんどん気持ちが暗く、胸に黒いものが渦巻いてくるような気がして……ツナは自分が嫌になった。山本は何も悪くないのに、一人で嫉妬を焼いて、拗ねている自分が情けなくて。
だから、
(もう…帰ろう……)
これ以上山本が誰かと一緒にいるのを見たくなくて、これ以上嫌な自分を見たくなくて……ツナは山本から背を向けると、出口に向かって歩きだした。
今週は会えただけでも良かったのだ、と無理やり自分を納得させて。
すると、
「あれ、ツナ?」
早足で学校の敷地内から出ようとした所で、不意に誰かから呼び止められた。声のした方を振り返れば、そこには同じ学科の友人が立っている。
「あ……久しぶり」
「おー、ツナももう終わり?途中まで一緒に帰ろうぜ」
「う、うん良いよ」
屈託なく笑う友人に、ツナは少しホッとした。このまま一人で帰れば、どんどん落ち込みそうだったから。
誰かと話していれば少しは気が紛れるだろう、と思って。
だから、
「あー、腹減ったなぁ……なぁ、何か食って行かねぇ?」
特に何でもないようにその友人に誘われて、
「……そう、だね…どこか寄っていこっか」
「よっしゃ、そうこなくっちゃな」
そういえば、他の友人と過ごすのも久しぶりだ、と……ツナは、何の躊躇いもなく誘いに乗ったのだった。
これで少しは気分が晴れるだろうか、と呑気に考えながら。
***
だがツナは知らなかった。それが後でとんでもないことになるなんて。
大学の最寄り駅から電車で少し行った、ツナと友人が乗り換えで別れる駅で降りると、二人でその近くにあるファミレスに入った。そして、サイドメニューやドリンクバーで長い時間喋った後、ようやく店を後にする。