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□My darling
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とはいえ、何をやらせてもダメダメなツナに対して、山本は本当はやればできる、そして何かと頼りになる存在で、クラスの人気者で。そんな彼をツナは心から慕い、一番の親友だと思っていた。

だが二人の関係は、気の合う友人だけでは終わらなくて。

「メールできたら良かったんだけど、急だったからさ……悪い」
「良いよ、そんなの……山本は忙しいもん」

少し寂しげな表情をするもふわりと笑うツナに、山本もホッとした様子を見せる。そしてどこか照れくさそうに、

「それでさ……ツナはもう授業終わりだろ?俺もだし、この後も仕事はないから……久しぶりに、一緒に帰らないか?」
「っ、ぇ……」

予想外の誘いの言葉に大きく目を見開いた後、ツナは僅かに頬を染めた。山本の頬も、少し赤くなっている。

感の良い人間なら気付くかもしれない。この、二人の何とも言えない甘い雰囲気に。

(山本と、久しぶりにデートができる……!)

そう、二人はただの親友ではなく……恋人同士なのだ。

そんな関係になったのは高校生の時から。山本から告白されて、付き合うことになった。

山本は、中学生の頃からずっとツナに想いを抱いていたらしい。その事実に驚愕したツナだったが、感じたのは胸がいっぱいになるような喜びで。
ツナも山本に惹かれて、無意識に親友以上の存在として見ていたのだろう。だから、何の迷いも葛藤もなく彼を受け入れた。

そして高校卒業後も同じ大学へ入ったので、その学生生活はさぞや幸せいっぱいであろうと思っていた。

だが、

「じゃあ、行くか…」

山本が言って、ツナが嬉しそうに立ち上がろうとした時、

「――きゃぁっ、山本君じゃない!」
「本当!会えるなんて超ラッキー!」

店の中に黄色い声が聞こえて、突然複数の女子生徒が集まってきた。話をしていた二人の間に割って入り、あっという間に山本を取り囲んでしまう。

「最近学校に来てくれなかったから寂しかったぁ!」
「出てる雑誌、今月号買ったよー!」
「あ、ああ……サンキューな!」

そう、山本はただでさえもてそうな容姿と性格をしている。だからモデルとして活躍する彼は当然大学でも有名人で、多くの女子生徒から注目の的で。

「今日は仕事ないの?一緒に遊びに行こうよぉ!」
「あー悪い、今日は…」
「良いじゃん、滅多にこんなことないんだからさぁ」

山本は困ったような顔をするも、邪険には扱えない。彼女達もファンの一員なのだから。

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