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□My darling
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キャンパスライフ……義務教育という名の堅苦しい束縛から解放されて、遊びも勉強もアルバイトも、そのほとんどが自分の思いのまま。のびのびと人生を楽しむことのできる一番の時期かもしれない。

……そのはずなのだが、

「………」

都会でも田舎でもない場所にある、歴史や伝統もまだ浅くも古くもない、どこにでもあるようなとある大学。その敷地内にある、割と広めのカフェテリアで。

「……むぅ」

砂糖たっぷりのカフェオレを飲みながら、ツナはため息なのか何なのか良く分からない声を漏らした。
ふわふわの薄茶色の髪に大きな瞳。私服姿でテキストの入った鞄を持っているので、この大学の学生だということは分かるが……小柄な身体に生まれつきの童顔は、まだ高校生でも通用する。

笑えば女の子のようにも見えるであろうその表情は、だが今は不機嫌そうで、というか面白くなさそうな膨れっ面をしていた。

多くの学生が談笑し、ちらほらとカップルも楽しそうにしている店の中で、何故彼だけはこんな状態なのか。それは授業がつまらないとか、仲の良い友人がいないとかいう訳ではない。

それは、

「―――あ、おーいツナぁ!」
「………!」

その時少し離れた所から、明るく爽やかな声でツナを呼ぶ者がいた。驚いてそちらを見ると、

「ぇ……山本?」
「おー!会えて良かったぜ!」

そこにいたのは、すらりとした長身にしなやかな体付きの、モデルのような青年だった。黒髪に精悍な顔立ちだが、爽やかに笑う表情はどこか人懐っこくて、誰が見ても魅力的に思うだろう。

近くまでやってきた青年……同期生である山本武を、ツナは瞳をぱちぱちとさせながら見上げた。

「久しぶり、ツナ」
「う、うん……珍しいね、学校に来るの。仕事は……?」
「ん?ああ、急にスケジュールが変更になったからさ。授業に出ようと思って」
「そう、だったんだ」

まだ驚いているツナに、山本は誰もが見惚れるような笑顔を向ける。

「少しは出ないと、単位がヤバいしな」


実は、山本は実際にファッション雑誌のモデルをやっていて。そのルックスと誰にでも優しい性格でかなりの人気を集め、最近では芝居の勉強も始めて、たまにだがテレビに出ることもあるのだ。

そのため毎日が多忙で、大学には滅多に来られなくて。ツナが山本を学校で見たのは、実に約一月ぶりだった。

そしてツナと山本は、中学生からの付き合いでもある。万年補欠組という似たような成績を誇る二人は、自然と同じ高校や大学へと進んだ。

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