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□A discord
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仲間の身体を操られて一時はもう駄目かと思ったが、何とか新しい死ぬ気弾と武器で応戦して。戦いの末、ツナはとうとう骸を倒すことができたはずだった。

けれど、

「………」

殺せと言われそんなことはできないと背を向けた瞬間、不意を突かれて。そこで意識を失ってしまったのだ。

あの後、自分はどうなったのだろうか。怪我をした仲間達は無事でいるのだろうか……何もかも分からない。

だがこんな所に一人でいるということは、敵に捕まってしまったということで……

(骸は…俺の身体を……)

骸の本来の目的は、ツナの身体を乗っ取ることなのだ。敵の手中にいるということは、とっくに契約とやらをされてしまったに違いない。

今は自分の意識があるようだが、いつどこで好きなように操られるか……急に身体が自分のものでないような感覚に襲われて、ツナは腕を掻き抱いた。

その時、

「っ……!」

部屋の外、恐らく通路であろう向こうから誰かの足音が聞こえてきて。だんだんこちらに近付いてくるそれに、ツナは身体を強ばらせた。
底知れない不安に体温が奪われていく。

やがて、

「クフフ……お目覚めですか、沢田綱吉」
「ぁ……」

やはり、現れたのはこの事件を起こした張本人……六道骸だった。仄暗い笑みを浮かべる彼に、ツナは恐怖の瞳を向ける。

ゆっくりと近付いてくる相手から逃げようとするのだが、身体が竦んで動かない。

「良く眠っていましたが、気分はいかがです?」
「ゃっ…来る、な……!」
「おやおや、心外ですねぇ……傷の手当てまでしてあげたというのに」

戦いで負った傷の処置をしたのは、どうやら骸だったらしい。敵の自分にどうして、と思ったツナだったが、良く考えれば当然かもしれない。

何故なら、この身体はもう骸のものなのだ。骸はこの身体を使って、世界中のマフィアを殲滅しようとしているのだから。

「お、おねがい…操らないで……」
「………」
「俺の身体で…関係のない人を、殺さないで……!」

ただ好き勝手に操られるだけでなく、それが多くの人々の命を奪い、脅威となるなんて……そんなこと、耐えられるはずがなかった。
この際、身体を乗っ取られるのはもう良い。だが、それだけは止めてほしくて……ツナは必死で、目の前にいる男に懇願した。

無駄だと分かっているのに、この男がそれを分かってくれるはずなんてないのに……それでも、これだけは縋り付くしかなくて。

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