Main3
□A discord
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決して分かり合えるとは思わなかった。
ただ、自分は自分の身を守りたくて。そして、仲間の命を掬いたくて。
だから、そこまでするつもりなど始めからなかった。それが、たとえ甘いと言われようと。
けれど、
「―――その甘さが命取りだ」
その通りだとしても、自分にはどうすることもできなかっただろう。
「………!」
決して、油断していた訳ではないのに。
「っ、ぁ……!」
その瞬間、意識がフッと遠くなって。
遠くの方で、あの男の笑い声が聞こえたような気がした。
***
「っ…ぅ……」
気が付くと、そこはツナの知らない場所だった。
どこかの使われていないビルの中のようで、コンクリートの壁は今にも崩れ落ちそうになっている。所々で鉄骨が飛び出して、床には瓦礫やガラスの破片が散らばっていた。
もちろん明かりなどなく、恐らく夜であろう部屋の中は薄暗い。ただ、窓からは月の光が差し込んでいて、周りの様子は辛うじて見ることができた。
そしてツナは、決して綺麗とは言えない、やはりぼろぼろの古ぼけたソファーに寝かされていた。座り心地が良くないので、そこに横たえていた身体はぎしぎしと痛む。
(おれ…いったい……ここ、どこ……?)
ぼんやりとした頭で思い出そうとしても、まだ意識に靄がかかっているかのようで分からない。
とにかく起き上がろうと身体を動かした時、
「っ、い…たぁ……!」
全身に走った痛みに、ツナは再びソファーに踞った。決して、無理な体勢で寝ていたのが原因の痛みではない。
明らかに、何らかの形で傷を負った痛みだ。
何とか自分の身体を見ると……服は所々破れて、半袖から伸びる腕には包帯が巻かれ、服の隙間からもそれが覗いているのが分かって。
「っ、ぁ……!」
そこで、ようやくツナは思い出した。自分の身に何が起こったのかを。
平和だったはずの並盛。それが少し前、ツナ達の通う並盛中学の生徒が何者かによって襲われる事件が多発して。
始めは無関係だと思っていた。だが、やがてツナやその仲間達も襲われ、実はそれがマフィアに関係していて……しかも犯人の本当の目的は、ボンゴレ十代目候補であるツナだということが分かったのだ。
敵の正体が分かり、ボンゴレ九代目からも指令が来て……ツナ達は敵を倒すため、そのアジトである黒曜ランドへと向かった。
そこで様々な強敵と戦い、何とか勝ちながらも多くの傷を負って。そして、ようやく一番の元凶である男……六道骸と対峙したのだ。