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□Paradise?
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『―――ツナヨシ』

そう……あの落ち着いた、艶のある声で自分を呼んでくれるのだ。そして身体を抱き締めて、頭を優しく撫でてくれて……

「―――吉」

(アラウディさん……)

でも、普段は優しいのに求め合う時は激しくて、済ました顔をしているのにとっても意地悪で……

「―――綱吉?」
「っ、はいアラウディさ……ぁ」

過去で可愛がってくれた彼のことを思い浮かべぽーっとしていたツナは、不意に同じ声音で呼ばれて……思わず、雲雀に向かってそんなこてを言ってしまった。

「………」
「っ……!」

一瞬で部屋の中がしんと……いや、空気が凍り付き温度が急激に下がったような気がする。口をつぐんだ雲雀がすっと目を細めたのを見て、ツナは内心悲鳴を上げた。

「ゃ、あのっ…これは……!」

(お、俺の大バカ者―――っ!)

よりにもよって、本人の前で堂々と他人と間違うなんて。それも何故か雲雀が敵視している、過去で出会った人物と。

だが、必死に弁解しようとしても余計に悪化させてしまう気がして。

「じ、じゃあ俺っ…職員室へ行ってきまぁすっ…!」

不自然なまでに明るく言うと、ツナは書類を持って立ち上がり、猛ダッシュで応接室を出ようとした。
つまり、逃げることにしたのだ。

だが、そうは問屋が卸すはずもなく、

「わぁっ!?」

走りだした瞬間に身体がふわりと浮いて、気付いた時にはソファーの上に転がっていた。雲雀に首根っこを捕まれ放り投げられたのだ。

「ぃっ、た…ひ、ばりさ……?」

鼻をしたたかに打ち付け涙目になっていると、身体をひっくり返されて仰向けにされる。

「っ……!」

同時に雲雀が覆い被さってきて……その、目を細め口端を吊り上げて笑う姿に、ツナは失神するかと思うほど恐怖したのだった。
薄らと笑っているのに、かなり怒っているのが分かって余計に恐ろしい。

「……綱吉」
「ひぃっ…は、はいっ…!」
「数日前に抱いたばかりだから、手加減しようと様子を見ていたけど……」

あの雲雀が手加減…ということは、抱くつもりはあったのだろうか。自分の身体を心配してくれるなんて何て優しい……ツナは、かなり現実逃避をしていた。

だが、

「でも、手加減なんて君には必要なかったんだね」
「っ……!」
「覚悟しなよ?綱吉」
「っっ……!」

あの時と同じ、容赦なく獲物をねじ伏せる瞳に、恐ろしいと思いつつも期待にぞくりとしてしまうツナは……全く懲りていなかった。

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