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□A liar
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そして、四六時中感じるねっとりとした視線。最早視線ではなく空気が、誰かの強い意識が自分にまとわり付いて、肌を撫でられているような。
「うわ、何だよそれストーカー?警察行った方が良いんじゃねぇの?」
「でも、実際に姿を見たことはないし…何かをされた訳じゃないし……」
それに、男の自分がストーカーをされているなんて言うのは恥ずかしくて……だから、これまで誰にも言い出せなかったのだ。
すると、
「大丈夫ですよ十代目!この右腕である俺がいる限り、危険な目には遭わせませんから!」
「獄寺君……」
「そんな怪しい奴がいたら、すぐにぶっ飛ばしてやります!」
にっかり笑う獄寺に、ツナにも微かに笑みが浮かんだ。いつもなら無茶なことをする彼に戸惑うが、今は酷く頼もしく思えて。
「そうだぜ、どっか外出する時とか言ってくれよな。着いていくから」
「っ、うん……!」
山本にも励まされて、ツナはやはり二人に相談して良かったと思った。
その間も、どこか気味の悪い空気は肌に感じていたのだが。
***
それからしばらくして、もうすぐで獄寺のマンションへ着くという時、
「あっ、やべっ!俺、今日店の手伝いしねぇといけなかったんだ!」
思い出したのか、山本がそんなことを言って立ち止まった。そして申し訳なさそうに、
「わりぃツナ!俺帰らねーと!」
「あ……ううん、俺なら大丈夫だよ」
「さっさと帰れ!十代目は俺がお守りするんだからな!」
「頼むぜ獄寺っ」
両手を顔の前で合わせて謝ってから、山本は慌ててその場から走り去っていく。
それを見送ってから、獄寺は少し不安そうなツナに、
「行きましょう十代目!俺のマンションなら、安全ですからね!」
「うん、ありがとう」
安心させようと明るく、笑顔で言う彼に、ツナも心からお礼を言った。良い友人が二人もいて、自分は幸せ者だ、と。
そして、促されるまま獄寺のマンションへと向かったのだった。
―――何の疑いも持たずに。
***
「飲み物を入れてきますので、楽にして下さい」
「ありがとう」
(相変わらず良い部屋だなぁ……)
ほどなく着いたマンションの一室……あまり広くはないが、小綺麗で立派な1LDKの部屋だ。そのリビングのソファーに座れば、すかさず獄寺が飲み物を用意するために台所へ向かった。
いつもはツナの家へ行くことが多いので、あまり獄寺のマンションへは行ったことがない。だから、つい興味津々に中を見渡してしまう。