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□A liar
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「―――十代目」
いったい、いつからだろう。
「十代目……帰りましょう?」
何となく、違和感を感じるようになったのは。
「……ああ、うん…ちょっと待って……」
「はいっ」
放課後、帰る支度をしていたツナは、いち早く側へ来たクラスメイト……獄寺隼人にそう返事をした。だがその笑顔には、声には少し元気がない。
「おっ、二人とも帰るのか?」
準備を終え教室を出ようとすると、同じく友人の山本が後を追い掛けてくる。
「俺も今日部活ねーから、一緒に帰ろーぜ!」
「けっ、てめぇなんざ一人で帰れば良いんだよ!」
「んな冷たいこと言うなってー」
睨み付ける獄寺に屈託なく笑う山本。三人で一緒に帰ることになって、ツナは内心ホッとしていた。
何故なら、今はできるだけ誰かの側にいたいから。山本は特に頼りになるし安心する。
***
「……ツナ、最近元気ねぇよなぁ」
「ぇっ……」
学校からの帰り道。いつものように一緒に宿題をすることになって、ツナの家は賑やかだから……と一人暮らしをしている獄寺のマンションへ行くことになった。
その途中で、不意に言われた山本の言葉に、ツナはどきりと心臓を跳ねさせる。
「それは俺も思っていました。十代目、何かあったのですか?」
「………」
獄寺にも言われて、誤魔化すこともできず俯いてしまった。隠しているつもりだったのに、二人にはばれていたなんて……と、表情を曇らせる。
「十代目、悩みがあるなら何でも言って下さい!」
「そうだぜ、俺ら友達だろ?」
「二人とも……」
獄寺と山本の気遣う様子に、ツナは胸が熱くなるのを感じた。言うつもりはなかったのだが、本当は助けてもらいたかったのだ。
だから、ツナは二人の友人に話す決心をして……やがてゆっくりと口を開いたのだった。
「その、変な話なんだけど……最近、誰かにいつも見られてるような気がして……」
いったい、いつからだろう。何となく、違和感を感じるようになったのは。
ツナは、ずっと誰かの視線を感じるような気がしていた。登下校の時や学校にいる間……家にいる時でさえも。
始めは気のせいかと思った。だが、それは日に日に多く、強く感じるようになってきて。そして辺りを見渡しても、それらしい人間は誰もいない。
それなのに、今では常に誰かに見られているようにしか感じられなくなっていた。さらに、一人で外出すると明らかに誰かに後ろを付けられていて。