Main3

□Alteration
3ページ/9ページ



(でも…何でザンザスは、俺の所へ来るんだろう……)

こんな一般庶民の、それも何をやらせてもダメダメで、何の特にもならなさそうな子どもの元へ。しかも、以前は敵対していた人間だというのに。
危害を加える気配は少しも感じられない。だからといって、他に何かをする様子もない……ツナには全く理解できなかった。

すると、

「十代目ーっ!」

不意に、少し離れた所から聞き慣れた声が聞こえてきて。

「っ…!ちょっ、こっち……!」

それが友人である獄寺だと分かった瞬間、ツナは慌ててザンザスの手をつかむと近くにあった公園へ連れ込んだ。

以前、ザンザスが家を訪れた時に獄寺や山本、仲間達と鉢合わせてしまい、それはもうリング戦再びと思われるほど大変なことになったのだ。
こんな所で、血の雨を降らせる訳にはいかない。

「……あれ?確かに十代目がいたと思ったんだけどな…」

走ってきた獄寺が、不思議そうに辺りを見回して、そして立ち去っていく。木の陰に隠れていたツナは、ホッと息を吐いた。

「ん……?」

そしてはたと気が付く。ザンザスの手を、強くつかんだままだということを。木々の間に隠れようとして、身体を密着させていたことを。

見上げれば、目付きは悪いが酷く端正な顔がすぐ近くにあって、

「っ…ご、ごめん……!」

ツナは、顔を真っ赤にすると慌ててザンザスから離れた。男相手に何をドキドキしているのだと思ったけれど、頬の熱は冷めない。

ザンザスは、そんなツナの様子をじっと見つめていた。


***


買い物から無事に帰り何とも奇妙なメンツでの晩ご飯の後、ツナとザンザスは再び部屋へ戻った。ちなみに今日、家のチビ達は京子の家にお泊まりでいないし、リボーンもどこかへ出かけている。
まぁ、チビ達はやはりザンザスが怖いだろうから良いのかもしれないが……部屋に二人きりというのも不思議な感じである。

そして、奈々はザンザスに泊まっていけとしきりに勧めていて……ザンザスも、今まではいつの間にかふらりと帰ってしまうのに、今日はこんなに遅くまでいて動く気配がない。どうするつもりなのだろうか……と、ツナは宿題をしながら少し気になっていた。
当の本人は、相変わらず堂々と部屋に居座っている。

(し、視線が痛い……)

痛いどころではなく、本当に突き刺さってくるのだが……だが、だんだんそれにも慣れてきた自分がいて、ツナは驚いていた。

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ