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□Eat a lot!
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後から聞いた話では、ツナは全生徒が知っているくらいダメダメな生徒として有名で、骸も顔と名前は知っていたらしい。そして、姿を見る度に気になっていたとか……ツナとしては、嬉しいやら悲しいやら複雑な気持ちだ。

だがきっかけはともかく、二人はそれからめでたく?付き合うことになったのだった。

骸が実はすごく意地悪で、恋人を弄ったり苛めたりするのが大好きな人間だと知ったのはその後。だが、それはツナだけに見せる本当の姿で、いわゆる“つんでれ”とかいうやつだと知って、もっと骸が好きになったツナである。

それから約一年。骸は大学生で、自分は高校生……会える時間は少ないが、二人は順調なお付き合いをしている。


だがここ数ヶ月、特に年が明けてから、テストやらレポート提出やらで骸が忙しくて、なかなか会えない日が続いていた。この木曜日は、久しぶりに二人でゆっくりできるのだ。

だからツナは、その日のためにあることを考え付いた。


***


そして木曜日。

骸は、バイトが終わるとすぐに家へ帰った。バイト仲間の女性陣から何だか妙な気配を感じて、嫌な予感に素早く店を出たのだ。

(どうせ、待ちかねてるんでしょうね)

実際に会うのは久しぶりな訳で。数日前の電話でもそわそわしていたし、恐らく待ちきれなくなっているのだろう。

本当は、会えて嬉しいのは骸も同じなのだが……素直になれない彼は、そんなことは絶対に口には出さない。

マンションに着いて、骸は嬉しそうに駆け寄ってくるであろう恋人の姿を想像しながらドアを開けた。

「帰りましたよ」
「あっ、おかえりー!」

すると、予想通りパタパタとスリッパの音がして、リビングからツナが顔を覗かせる。

だが、

「……何です?その格好は」

久しぶりに見る恋人の姿は、いつもと違っていた。学校の帰りに寄って、私服に着替えたのは分かるのだが……。

だがその上からは、ピンク色でフリフリの、何とも可愛らしいエプロンを付けていたのだ。

そこに視線を感じて、ツナは少し恥ずかしそうに頬を染める。

「これは、その…家に、こんなエプロンしかなかったから……」
「ああ、そうなんですか……って、そうではなくて」

もじもじし始めるツナにうっかりどきりとしながら、骸は疑問に思ったことを尋ねた。

「何故、そんな格好をしているのかと聞いているんです」

それに、何だかリビングからは甘い匂いもする。もじもじしていたツナは、ぱっと表情を輝かせた。

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