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□Eat a lot!
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「―――という訳で!来週の木曜日、泊まりに行っても良いっ?」
『……いきなり電話をしてきて、何が“という訳”なんですか』
ある日の晩、自室のベッドに腰を掛けて、ツナはドキドキしながら電話をしていた。
幼い顔立ちに小柄な身体。まだ中学生にしか見えない彼は、実はもう高校生だったりする。
そして電話の相手は、
『全く、こちらの予定も聞かないで』
「だって骸、大学はもう春休みなんだろ?なら暇だよね?」
『失礼ですね。他にもやらなければならないことはたくさんありますよ』
それは、隣町に住む六道骸という大学生だった。彼はアパートに一人暮らしで、近くの大学に通っているのだ。
「そ、っか…いきなり言っても、迷惑だったよね……」
素っ気ない返事に、ツナはしょぼんとしてしまう。どうしても、その日に会いたかったから。
すると、
『べ、別に迷惑だとは言ってませんよ。仕方ありませんね…』
「ぇっ、じゃあ良いのっ?」
ツナが落ち込んだツナのが分かったのか、骸は慌てたように言い直した。途端に、ツナの表情が明るくなる。
『ええ……ですが、バイトで少し遅くなりますから、先に入って待っていて下さい』
「うんっ!」
じゃあ木曜日に……と、ほどなく通話は終了した。
携帯を閉じて、
「……良かったぁ」
ツナは嬉しそうに、そして照れたように頬を染めた。
(よーし……!)
そして何かを決意したように、一人で気合いを入れたのだった。
***
高校生のツナは、二つ年上の大学生である骸と恋人同士だ。
付き合い始めたのは約一年ほど前。ツナが高校に入学した時、骸は同じ学校で生徒会長をしていて。
成績優秀、容姿端麗で誰にでも親切に接する(実際は少し違ったが)骸に、ツナは早くから憧れを抱いていた。
それが憧れを越えて、もっと別の感情になったのはいつの頃からか……ツナは、同性である骸に恋をしたのだ。
何をしてもダメダメな自分と、何でもできる生徒会長。それ以前に同性なんて、絶対に叶わない恋だと思った。
だが、ずっと心の中にしまっておくのも苦しくて。
それに骸は三年生、すぐに卒業してしまう。そうすれば、もう会えなくなるのだ……そう考えたら、いても立ってもいられなくなった。
だから、ツナは振られても良いから告白しようと決意したのだ。つまり、当たって砕けようと。
だが驚くべきことに、決死の告白をすると骸からはオーケーされて。承諾されたことにも驚きだが、何故先輩である骸が、大勢いる一年生の一人であるツナを知っていたのか……ツナにとっては衝撃だった。