Main3
□Sand-wich!
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まぁ、自分には二人の他に友達と呼べるような人間はあまりいないので、一緒にいてくれるのは嬉しいのだが。
その時、
「――なっ!ツナもそう思うだろ?」
「ふわっ!」
考え事をしていると、突然山本が肩に手を回し抱き付いてきたので、驚くと同時にどきりとしてしまった。さすが学校にファンクラブを持つ男前、男のツナでも一瞬見惚れてしまいそうだ。
すると、
「テメッ…気安く十代目に触るなこの野球馬鹿!」
すかさず獄寺が、物凄い形相でそれを引き剥がす。それは、いつもの見慣れた光景だ。
だが、
「………」
騒ぐ二人の後ろ姿を、ツナはじっと眺めた。
近頃、ツナにしか接しない二人に不思議に思うだけでなく、何だか違和感を感じるのだ。
二人が、どこかそわそわとしているような。
悩んでうーんうーんと唸っていたツナは、全く気付かなかった。獄寺と山本が、ツナに聞こえないように小声で喋っていた言葉を。
「……テメー、抜け駆けすんなって言ってんだろ!」
「ただのスキンシップだろー?悔しかったら獄寺もやれば良いじゃん」
「チッ…!」
物凄くどす黒く、殺伐とした雰囲気を出していたことを。
***
「――という訳なの!沢田、何か知らないっ?」
「……え、っと」
その日の放課後、ツナは廊下の隅っこで、複数の女子生徒に囲まれていた。普段なら絶対にあり得ないことなので少しドキドキしてしまうのだが、別に彼女達はツナ自身に用事がある訳ではない。
聞けば彼女達は、それぞれ獄寺と山本のことが好きらしいのだが、
「今までたくさんの子が二人に告白したけど、どっちも絶対に断るでしょ?理由を聞いても教えてくれないし…」
「ほら、沢田って一番仲が良いから、何か知らないかと思って」
「う、ううーん…そんな話は全然しないから、俺も知らない、よ……?」
そう、年頃なのだから少しはそういう話をしそうなものだが、普段ツナ達は全くと言って良いほど女の子や恋愛の話をしない。だから分からないのだ。
「噂で、好きな人がいるって聞いたことあるけど……」
「ええっ、何それ気になるー!」
「あー……」
そう言いながらバタバタと走り去っていった女子生徒達に、ツナはふぅと息を吐いたのだった。
(それにしても……)
教室に戻りながら、彼女達の最後の言葉を繰り返してみる。
―――“好きな人がいる”
この言葉に、ツナはピンと来ていた。
(ひょっとして、最近そわそわしていたのは……)