Main3

□Princess and...
4ページ/10ページ



(もう、ジョットは俺のことを……)


その日の夜遅く……なかなか寝付けなくて、ツナはジョットの帰りを待ちながらベッドの上で膝を抱えていた。

ジョットは、もう自分のことを好きではないのではないか……そう思うと、目の前が真っ暗になるのを感じる。
元の時代には帰れない。ジョットに必要とされなくなれば、もう本当にここには自分の居場所はない……いや、始めから自分の居場所などなかったのではないか、と。

「………」

じんわりと目頭に浮かんだモノを、ツナはもう止めることができなかった。


***


辺りが暗く静まり返り、すでに日付も変わった頃。

「……帰ったのか、ジョット」
「ああ……ツナヨシは、もう眠ったか?」

屋敷の重厚な扉が開かれて、漆黒のマントに身を包んだジョットが帰ってきた。少し疲れた様子の表情は、その顔立ちもあって艶やかな憂いを帯びている。

彼を玄関で出迎えたGは、それには答えずに、

「お前も気付いていると思うが、ツナヨシの様子が……」
「……分かっている」

そう、ジョットもツナの異変には気付いていた。一番近くにいるのだから、当然なのだが。

ツナの元気がなくなっていったのは、数日前……ジョットが仕事で留守をしている時に、Gと……そしてその後、屋敷を訪れたコザァートと会ってからだ。
それからというもの、ツナは良くぼーっとしたり、何かを考え込むようになった。今では、明らかに表情に明るさがない。

「俺が、何か気に触ることでも言っちまったんだろうか……?」
「いや、お前は悪くない。いつかはこういう時が来ると思っていた」

ジョットは、始めから分かっていたのだ。ツナが、自分達とどこか違うということを。この時代とは、この世界とは違う所から来たのかもしれない、と。

それでも、

「俺の望みは……一つだけだ」
「ジョット……」
「だが……全ては、ツナヨシが決めるだろう」

そう言って笑う姿は少し寂しげで、だがその瞳には揺るがない気持ちが現れていた。


***


ツナは、ずっとベッドに蹲ったままだった。ひょっとしたら、このままジョットは帰ってこないのでは……そう考えると、さらに胸が締め付けられる。

その時、

「っ……!」

寝室の向こうの部屋……その扉が静かに開く音がして、ツナはびくりと肩を跳ねさせた。恐らく、ジョットが帰ってきたのだろう。

安心したが、自分は今泣いているのだとツナは慌てて涙を拭った。

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ